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地域を結ぶ病院だより

vol.73(2024年2月)


フレンディーだよりvol.73(2024年2月発行)
  • 手術支援ロボット「ダビンチXi」を使用した手術を始めました
  • ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘出術について
  • 当院にご紹介いただく先生方へ
  • 編集後記

手術支援ロボット「ダビンチXi」を使用した手術を始めました

消化器外科 副院長
寺田 逸郎

昨年9月より「ダビンチXi 」を使用した手術が当院でも始まっています。この手術支援ロボットの導入は富山県内では6施設目、新川医療圏では初めてとなります。
現在のところ、泌尿器科、呼吸器外科、外科の各診療科において、前立腺がん、肺がん、大腸がん(結腸がん・直腸がん)を対象にロボット手術を実施し、順調に症例を重ねてきています。

私が外科医になったころのがんの手術(もう30年近く前になりますが)は「大きくお腹を開けて、大きく病巣を採ってきなさい」と教わりました。術中の出血・輸血は当たり前で、術後患者さんは1か月近くも入院されていました。その後、拡大手術にはがんの根治性に限界があることが認知され、近年は低侵襲な手術「内視鏡手術」に移行してきました。この手術は傷が小さく回復が早いといった患者さんの負担を減らすだけではなく、カメラによる拡大視効果から、細かな血管や神経を認識し、さらには気腹の効果もあわせ膜解剖を理解しながら的確な剥離層を保って手術操作ができるといったわれわれ執刀する側にも利点がありました。しかしながら「鉗子の動きに制限がある」といった大きなデメリットもありました。使用する鉗子は開ける・閉じるといった単純な操作しかできません、いわばカニの指先を使って手術するみたいな感じです。術者の手術操作に大きな技量が必要でした。これを解消したのが「ダビンチ」です。この手術では、まるで術者自身が患者さんのお腹の中に入り込んで自身の手指を使いながら手術していると錯覚します。まさに「手術が簡単になった」と実感しています。さらには、この手術のクオリティーが十数年・数千例と積み上げてきた私の執刀する「内視鏡手術」より高いことに驚愕しました(少し残念でもありますが(笑))。近い将来、この手術が当院でも「特別な手術」から「当たり前の手術」になっていくことと期待しています。

地域の先生方には、今後とも紹介・逆紹介を通してご支援いただけますようよろしくお願いいたします。

ロボット支援腹腔鏡下前立腺摘出術について

泌尿器科 部長
森井 章裕

近年、男性において前立腺癌の罹患率が増加しています。前立腺癌に対しては年齢や癌の広がりに応じて手術や放射線治療や内分泌治療法、またその組み合わせによって治療が行われます。

この度、黒部市民病院に手術支援ロボット「ダビンチXi」が導入され、運用が開始となりました。泌尿器科では限局性前立腺癌に対するロボット支援腹腔鏡下前立腺摘出術を2023年11月から開始いたしました。これまではこの手術を希望される患者さんは富山市などの病院に紹介させていただきましたが、当院での治療が可能となりました。

「ダビンチ」はアメリカで1990年代に開発された手術支援ロボットです。2000年にFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認され、ヨーロッパやアジアでも導入が進んでいます。日本では2009年にダビンチ手術が承認されています。

ダビンチ手術の特徴は、患者さんの体への負担が少ない腹腔鏡手術の精度をさらに上げ、より正確で安全な手術ができることです。患者さんにとっても傷口が小さくて済む、術後の痛みが少ない、回復が早い、機能を温存できる可能性が高いなどの多くのメリットがあります。

手術の手順としては、まず腹部に6か所、1-3cmの傷からトロカーと呼ばれる筒状の器具を挿入します。トロカーの準備ができたらロボットをドッキングさせます。二酸化炭素を注入して腹腔を膨らませ前立腺を内視鏡で確認、尿道、膀胱と切り離し、前立腺と精嚢を摘出します。次に尿道と膀胱を再吻合し、必要ならリンパ節郭清を行い手術を終了します。手術時間は3-5時間程度であり、術後に1週間程度尿道カテーテルを留置します。入院期間は2週間程度です。

当院にご紹介いただく先生方へ

地域医療連携室では、ご紹介いただく患者さんの診察予約、検査予約をおこなっております。
予約を行うことで速やかな診察、待ち時間軽減につながります。

診察予約・検査予約の受付時間は、17時前までにご連絡下さい

編集後記

令和6年度能登半島地震により犠牲となられた方々に、謹んでお悔やみ申し上げますとともに被災されました皆様に心からお見舞い申し上げます。被災地の皆様の安全と一日も早い復興をお祈りし、隣県の災害拠点病院としての役割を果たしてまいります。
当院の入院受け入れ可能な病床数の確保が難渋し、各関係機関の皆様方には大変ご迷惑をおかけしております。速やかな退院調整と各関係機関の皆様方との連携強化に尽力し、安心・安全な質の高い医療提供に努めてまいる所存です。本年もよろしくお願い申し上げます。
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