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地域を結ぶ病院だより

vol.63(2021年4月)


フレンディーだよりvol.63(2021年4月発行)
  • 脳神経内科になりました
  • 周術期口腔機能管理について
  • 完全予約制の「糖尿病マイカルテ外来」を新設しました!
  • トピックス
  • 講演・勉強会のご案内

脳神経内科になりました

脳神経内科部長 新井 裕一

2019年4月より神経内科は脳神経内科と標榜科が変更になりました。これは、2017年9月16日に開かれた平成29年度第4回日本神経学会理事会の決定を受けてのものです。変更のねらいについて日本神経学会では、いまだに心療内科や精神科と混同され一般に広く知られていない状況が続いていること、「脳神経外科」の内科側のカウンターパートとの位置づけが明確になること、などを変更の理由としてあげています。確かに経験的にも精神科と思しき方が受診されることが以前はありましたが、最近はだいぶ認知されてきているように思います。

もともと脳神経内科(旧神経内科)は、中枢神経から末梢神経・筋肉にいたるまでの障害について扱っている診療科です。欧米ではDepartment of Neurologyという部門が担当しており、これを日本語に訳すと神経科になります。神経科については2008年4月以降日本では新たに標榜できなくなりましたが、もともとは精神医学領域で標榜されていました。

現在の日本神経学会は1960年に設立されましたが、1902年に三浦謹之助や呉秀三が発起人となって設立された日本神經学會が母体となっています。同学会には精神医学部門と神経学部門がありましたが、当時の大学には精神医学講座はあるものの単独の神経学講座はなく、徐々に精神医学系の会員が増加し1935年には学会名が日本精神神經学會に変更されることとなりました。こうした背景から神経学部門の分離独立の声が高まり、冲中重雄や勝沼精蔵らが中心となって神経学会の分離独立に至りました(『日本神経学会50年のあゆみ』より)。

神経という語は解体新書が初出で、オランダ語のzenuwを訳す際に、精神・魂(神気)の通る経路(経脈)ということで神経と訳されたといわれています。このzenuwこそ末梢から脳へ情報を伝え、処理された情報が脳から末梢へ伝える、すなわち現在われわれが扱っている神経です。神経を扱う診療科ですから、本来はNeurologyの訳語の神経学を扱う診療科ということで神経科とできればよかったのですが、上記のような理由で精神医学領域において使われていたために神経科が標榜できず、1975年に診療科として神経内科を標榜することが認められたのです。以来40年以上にわたって使われてきた神経内科が2018年4月以降順次脳神経内科と改められるようになり、当院でも2019年4月に標榜科を変更しました。

名前は変わっても扱う疾患に変わりはないので、これまで通り中枢の脳・脊髄から末梢神経・筋肉に至るまで診療を行っています。扱う範囲が多岐にわたりすべてに精通しているわけではありませんが、必要があれば大学病院など上級病院への紹介も行っています。神経筋疾患について専門的な診療が必要とご紹介いただければできるだけの対応をしていきたいと思いますので、今後もよろしくお願い申し上げます。

周術期口腔機能管理について

歯科口腔外科部長 高桜 武史

周術期口腔機能管理とは医科と歯科が連携して、患者さんの口腔機能管理を実施することにより、「手術」を行う場合のトラブルや誤嚥性肺炎・感染症の予防と口腔粘膜炎や口腔内感染症等に対する治療の向上をめざすものです。2012年度から診療報酬に周術期口腔機能管理が新設され保険適用となりました。当院におきましても、同年より周術期口腔機能管理を行っております。対象としては以下に掲げる手術を予定している患者さんです。

イ 頭頸部領域、呼吸器領域、消化器領域等の悪性腫瘍の手術
ロ 心臓血管外科手術
ハ 人工股関節置換術等の整形外科手術
ニ 臓器移植手術
ホ 造血幹細胞移植
ヘ 脳卒中に対する手術

当院では手術日が決まれば、主治医より歯科口腔外科へ周術期口腔機能管理の依頼があります。手術前に患者さんの口腔衛生状態や口腔内の状態等の把握、手術に係る主病及びその治療に関連する口腔機能の変化に伴う日常的な指導等を評価し、歯科疾患を有する患者さんや口腔衛生状態不良の患者さんにおける口腔内細菌による合併症(手術部位感染や病巣感染)、手術の外科的侵襲や薬剤投与等による免疫力低下により生じる病巣感染、人工呼吸管理時の気管内挿管による誤嚥性肺炎等の術後合併症や脳卒中により生じた摂食機能障害による誤嚥性肺炎や術後の栄養障害の予防等を行っております。具体的には動揺している歯があったり、感染を伴う歯があったりすれば、事前に処置を行います。また、口腔衛生状態が不良の場合は歯科衛生士が専門的口腔ケアを行います。手術室に入る際には、口腔内のトラブルがない状態にすることが大切です。周術期口腔機能管理を行うことにより、術後合併症を減少させて入院期間を短縮することが報告されています。また、継続的な歯科治療が必要な患者さんには退院後にかかりつけの歯科医院へも連携させていただいております。この制度は厚生労働省から積極的に行うようにとの通達があり、今後も継続される制度であることがうかがえます。

さて、新型コロナウイルスが猛威を振るっており、一向に終息のめどが立たない状況ですが、ご周知のごとく新型コロナウイルスは重症肺炎を引き起こします。口腔内でも増殖し唾液に多く含まれていることが解っています。口腔ケアを行うことは新型コロナウイルスの重症化予防や拡散防止につながる可能性があるかもしれません。微力ではございますが、地域の医療に貢献できますよう今後ともご指導・ご協力のほどお願い申し上げます。

完全予約制の「糖尿病マイカルテ外来」を新設しました!

糖尿病・内分泌内科部長
吉澤 都

新川医療圏では新川厚生センターが中心となり2007年~糖尿病地域医療連携を開始、独自の「糖尿病マイカルテ」を利用した循環型病診連携システムを行っております。2020年3月までに当院で糖尿病教育を行った後にかかりつけ医に逆紹介した患者数は589名、2020年12月末の時点で147名(25%)が連携継続、140名(24%)がかかりつけ医での治療継続ができておりました(図1)。一方、通院中断された患者さんも13%存在しており、既報と同様、特に若い勤労世代での通院中断が目立ちました。糖尿病患者さんを重症化から守るためには、発症早期から良好な血糖コントロールを維持することが重要であるという観点から、若年発症糖尿病患者さんの治療中断を阻止することは最重要課題と考え、これまで電話や手紙での受診勧奨などに取り組みましたが、残念ながら効果があったとは言えません。通院中断には様々な要因が絡んでいることが指摘されておりますが、患者さんの医療に対する不信感や嫌悪感も一因とされており、私たち医療機関にも改善すべき点があります(図2)。

そこで、当科では患者さんの通院負担の軽減、治療満足度の向上を目的に、2021年度から“待たせない”“完全予約制”「糖尿病マイカルテ外来」を新設し、一人一人の患者さんを丁寧に診療できる体制を整えました。患者さんは、管理栄養士、健康運動指導士、日本糖尿病療養指導士(CDEJ)により日常生活での自己管理に問題がないかを確認した後で日本糖尿病学会専門医が診察します(図3)。2006年から当院が運用を進めている新川地域医療連携ネットワーク「扇状地ネット」の利用により、当院で行っている診療および指導内容、検査結果は即時にかかりつけ医の先生方が確認することが可能ですので、原則マイカルテ登録患者さんには「扇状地ネット」への登録をお願いしています。なお、まだ「扇状地ネット」に参加されていない先生におかれましては、是非この機会にご検討いただき、地域医療連携室「フレンディー」までご連絡いただければ幸いです。

個々の患者さんを丁寧に診療し、かかりつけ医の先生方と糖尿病診療チームが診療情報を共有し、医療連携を深めることで新川医療圏の基幹病院としての役割を果たしてゆきたいと考えております(図4)。

今後とも、ご理解、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

トピックス

経腸栄養関連製品のISO規格変更に伴う対応について

黒部市民病院では、製品分野間の相互接続防止コネクタに係る国際規格(ISO80369-3)の導入に伴い、既存規格コネクタと接続できないISO規格製品に規格変更を行いました。
1.新規格ISO製品への切替え
⑴ 2021年2月17日(水)をもってISO規格製品へ一斉に切替えを行いました。
※ただし入院患者さん・外来患者さんともに、現在使用(留置)されている方に関しましては、その方々の交換時期を目処に新製品を使用させていただきます。
⑵ コネクタ色:既存製品の黄色等から紫色へ統一変更となります。
2. 既存規格製品への対応
⑴ 当院から貴院への転院の場合
2021年2月17日(水)以降、ISO規格製品を使用して当院より転院となる患者さんは、貴院におかれましては、変換コネクタが必要となる場合があります。
⑵ 貴院から当院への転院の場合
当院では「変換コネクタ」を在庫しておりますので、既存規格製品、ISO規格製品の両方に対応可能です。

講演・勉強会のご案内

1. 新川胸部疾患検討会

日時 毎月第2木曜日
  • 18時30分~
  • 20時00分~
場所 中央棟3階 会議室6

2. 内科カンファレンス

日時 毎週火曜日
18時15分~
場所 中央棟3階 会議室6
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