グローバルナビゲーションへ

本文へ

ローカルナビゲーションへ

フッターへ


地域を結ぶ病院だより

vol.62(2020年10月)


フレンディーだよりvol.62(2020年10月発行)
  • ご挨拶
  • 病院紹介
  • 最近の病理診断について
  • 肺癌治療の今
  • 2型糖尿病について
  • 【お知らせ】令和3年度 黒部市民病院 看護師特定行為研修 受講生募集!
  • 【お知らせ】新任医師紹介
  • 講演・勉強会のご案内

ご挨拶

(地域医療支援部主任部長)
地域医療連携室長
産婦人科部長 結城 浩良

4月より中田明夫先生の後任として地域医療連携室長に就任いたしました。日頃から、先生方には、貴重な症例を多数ご紹介いただき、誠にありがとうございます。

診療所や病院の先生方と連携をとりながら診療を行なう病診連携・病病連携には、多くのメリットがございます。患者さんからみたメリットとして、診療所や病院と黒部市民病院の医師の連携が良いので安心感がある、症状に応じた適切な医療が受けられる、診察の待ち時間が短くなる、など。先生方からみたメリットとして、黒部市民病院は総合病院ですので、ご自分の専門外の領域でも対応が可能である、ご紹介いただいた患者さんの検査結果や経過などの情報が確実にフィードバックされ、今後の診療に役立てていただける、自院に高額な先端医療機器があるような感覚でMRIやCTが利用できる、など。黒部市民病院からみたメリットとして、先生方と共有する情報量が多くなり、コミュニケーションがよくなる、役割分担が明確になり、急性期病院としての本来の機能が発揮できる、など。病診連携・病病連携のきずなが強ければ強いほど、これらのメリットが多くなります。

黒部市民病院と先生方の診療所や病院とがそれぞれの役割、機能を分担し、連携を図っていくことが重要であり、患者さんへは、より効率的で効果的な医療を提供してまいりたいと考えております。まだまだ不備・不慣れなところはたくさんございますが、今後とも先生方のご支援をよろしくお願い申し上げます。

病院紹介

しのざき小児科

2020年6月、二本垣医院跡地に開業しました。

父親が、下新川郡石田村の出身。石田小学校、旧制魚津中学、旧制富山高校を経て医学部へ。こどもの頃父親に、どうして医者になったのか尋ねたところ、家に田んぼがなかったから、と話していましたが、昔から医療過疎地であったこの地域のために何かしたいという気持ちがあったのだろうと思います。黒部市民病院の初代院長草野先生がおられた時に、卒業したての外科医で4年ほど勤務していたことを病院史で知りました。
自分の父親(私の祖父)を結核の術中に亡くし、自身が胸部外科を学ぶために黒部を離れ、後年静岡で勤務医を続けることになりましたが、晩年、本当は自分の出身地で地域医療をやりたかった、と述懐していました。

私自身は15年前、氷見の病院から黒部へ異動。当時はその先のことはあまり考えていませんでしたが、結局この地で開業するに至ったことには因縁を覚えざるを得ません。

新型コロナウイルス感染症の影響が懸念されましたが、基本的にWEB予約制として、なんとか診療を続けています。勤務医と違い、軽症での受診も目立ちます。とげが刺さった、と見せにくる子もいて、これまでやっていなかったような処置に挑戦することも時々あります。これまでの経験を通じて、微力ながら地域に貢献できるよう新たな気持ちで努める決意です。どうか皆様の温かいご支援をお願い申し上げます。

診療案内

休診日:第1土曜日、日曜日、祝日、年末年始、学会出張時

所在地

〒938-0031
富山県黒部市三日市1062
TEL:(0765)56-6938 FAX:(0765)56-6838
HP:https://shinozaki-pediatric-clinic.jp/

最近の病理診断について

病理診断科部長
臨床検査科部長 高川 清

最近の病理診断について、病理医が思っていることを書かせていただきたいと思います。病理診断業務は、生検検体の検査による多くの癌の治療前診断、手術検体の最終診断、および病理解剖などが主たる業務です。いくつかの癌の診断においては、従来のHE染色標本による形態診断に加えて、免疫組織化学(免疫染色、抗体染色)が重視される様になってきました。

例えば、乳癌の診断では、従来の形態分類では、日本の乳癌の大部分を占める浸潤性乳管癌を3つに細分し、乳頭腺管癌、充実腺管癌、硬癌に分けていました(2012年出版の「乳癌取扱い規約」第17版まで)。この細分類は日本独自のもので、どの分類に入れるかは病理医の個性が入り込む余地があり、診断の正確性に問題はあったのですが、病理医にとっては「乳癌取扱い規約」は初版が1967年に出版され現在まで改定され使われ続けている、日本における乳癌の病理診断のスタンダードとして長く尊重されてきた書籍なのです。我々病理医は、なるべく規約に沿った診断になる様に、事あるごとに規約を参照し、病理診断業務を行なってきたのです。

ところが、最近の乳癌の病理診断においては、形態診断よりは、むしろ免疫組織化学の結果を重視する様になってきました。乳腺に腫瘤があり、HE染色標本で組織形態的に癌と判断された場合は、さらに免疫組織化学でホルモン受容体(ERおよびPgR)とHER2の発現の有無、およびKi67陽性細胞の割合をカウントし、その結果によって癌を分類する訳です。これは、例えばホルモン受容体陰性の癌に対してホルモン療法は無意味なので、術後にホルモン療法を行うか否かの判断に有用な情報を提供することにより、従来の形態診断よりも、より治療に直結した正確な情報を提供できるというメリットがあります。なので、この様な病理診断技術の変化は、技術の進歩に伴う好ましい変化だと思います。ただ、長い間、「乳頭腺管癌なのか、充実腺管癌なのか、硬癌なのか」を真剣に悩んで診断していた古い病理医は、これまでの努力は何だったのか、気になってしまうのです。明治維新でそれまで幕府のために藩主のために忠実に職務に励んでいた武士たちが職を失った時の気持ちや、先の戦争に負けてそれまでお国のために一生懸命に戦ってきた軍人が、一夜にして悪人にされた時の気持ちを想像してみたりします。時代の流れというものなのでしょうか。

肺癌治療の今

呼吸器内科部長 
呼吸器センター所長
河岸 由紀男

新型コロナウイルスのパンデミックという災禍にあって、幸いにも今のところ黒部市民病院での癌治療に大きな支障はなく平常通り機能しています。対応に尽力されている院内外の多くの皆様に感謝し敬意を表します。コロナ禍は医療にも社会にも大きな影響を及ぼしました。我々には常に新たな対応が求められます。

肺癌治療の進歩は目覚ましく多くの方がその恩恵を得ています。いくつかのドライバー遺伝子をターゲットとした分子標的治療薬、癌免疫の活性化を引き出す免疫チェックポイント阻害薬、強力で高精度な放射線治療などの治療法の進歩とともに、制吐剤、好中球減少を予防する薬剤、鎮痛補助薬など様々な支持治療にも大きな改善がありました。我々はこれらを駆使して最善を尽くします。かつて治療介入できなかった高齢者や全身状態不良の患者さんにも改善のチャンスがあります。患者さんの予後と生活の質の改善は我々にとって喜ばしく本望とするところです。

しかし、ほとんどの患者さんには治療や管理の継続が必要です。医療技術の進歩に伴う治療適応の拡大と治療期間の長期化は医療従事者の負担を増加させています。一方でこうした治療の進歩をすべての患者さんが享受できるわけではなく、治療により改善が期待できる患者さんを医学的な精査により選択する必要があります。それでもなお効果を保証できるものではなく期待外れであったり思わぬ副作用で苦しむこともあります。癌治療の導入には医学的な選択とは別に患者さんの社会的な背景も大きく影響します。ご家族がいないかサポートが期待できない方が増えています。治療以前にすでに自立した生活が困難になっている方が多いのです。体調を崩すリスクがあって長期に及ぶ癌治療には家族や社会のサポートが不可欠です。

我々が提案する治療は最新で高度かつ高価なものになりがちです。看護や支持治療など多くの医療資源はそこに集中します。しかしこれがすべての患者さんに最善とは限りません。我々が提供している医療は本当に患者さんやその家族が求めているものなのでしょうか。高度で高額な治療に患者さんや医師が振り回されているような側面があるように思います。高度な医療に執着することなく、より豊かで優しい医療を行うことも可能だと思います。多様な選択をしやすくする意識や制度の改革が必要ではないかと思っています。コロナ禍の中そんなことを考えていました。

2型糖尿病について

内科医長 毛利 研祐

私は、2019年度から黒部市民病院で糖尿病・内分泌疾患の治療をさせていただいています。2019年の国際糖尿病連合IDFの報告によると、世界では4億6300万人の糖尿病患者がおり、糖尿病は未だ克服されていない疾患です。日本では糖尿病人口が若干減少に転じているものの、人口動態を考えると世界的には今後も増加の一途をたどることが予想されます。

2型糖尿病の克服が困難である理由は多くありますが、その中でとくに重要と思われる点が2つあります。1つ目は「同じ2型糖尿病でも、人によって病態がかなり違うこと」、2つ目は「糖尿病薬のみで、糖尿病を治療することは(現時点では)できないこと」だと思います。糖尿病は単純に「血液中のブドウ糖濃度が高い」ということが中心の病態ですが、この血中のブドウ糖濃度を左右する因子は人によって大きく異なっています。それらの代表的な因子としては⑴摂取する糖質の量、⑵血中のブドウ糖を細胞内に輸送するホルモン(インスリン)の量と動態、⑶肝臓・脂肪・筋肉のインスリン抵抗性が挙げられます。この中で、薬物での介入で改善がみこめるのは⑵のインスリンと⑶のインスリン抵抗性(の一部)だけであり、これ以外の部分を正常化しようと思えば当然非薬物療法での介入が必要となってきます。そこで、⑴糖質の量に関しては食事療法、⑶インスリン抵抗性に関しては食事療法+運動療法が必要となるわけです。もちろん、血糖降下作用のある薬物を多く使えば血液中のブドウ糖濃度は低下しますがこれはいわば対症療法であり、原因を解決せずに5年、10年と糖尿病治療を続けていくことは甚だ困難です。

このような観点から、黒部市民病院では糖尿病の初診の患者さんに対しては、「外来コース」という食事・運動療法を組み合わせた生活習慣改善のための治療コースを受けていただいています。基本的にはこのコースを3回以上受けていただき、薬物治療(必要であれば)と一緒に必ず食事・運動療法も行うようにしています。外来コースではとくに、他院ではみられないほど運動療法がとても充実しています。手前味噌ですが、その他指導にあたる栄養士、糖尿病療養指導士もよく訓練されており、内容としては北陸で最高レベル(本当は国内でといいたいところですが…)の生活習慣改善コースとなっています。糖尿病の治療をステップアップしたい患者さんなどがいらっしゃいましたら、食事・運動指導のみ依頼でのご紹介でも構いませんので、ご紹介いただければ幸いに存じます。誠意をもって治療に当たらせていただきますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

【お知らせ】令和3年度 黒部市民病院 看護師特定行為研修 受講生募集!

黒部市民病院は令和2年3月に新川医療圏で初めて、看護師特定行為研修指定研修機関に厚生労働省より指定され、令和2年4月に開講しました。特定行為を行って看護サービスをさらに向上させることに関心をお持ちの方は、ぜひご応募ください。研修では、主にeラーニングを利用するため一部の講義・演習を除き働きながら学習することができます。

募集概要

受付期間 令和2年10月~令和3年1月末
研修期間 令和3年4月~令和4年3月
募集定員 各区分2名
受講資格 ①看護師実務経験5年以上
②施設代表者等からの推薦
受講料 共通科目400,000円(250時間)
区分別科目1時間につき1,000円

研修を実施する特定行為区分

  • 栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連(41時間)
  • 血糖コントロールに係る薬剤投与関連(37時間)

応募・問い合わせ

黒部市民病院総務課看護師特定行為研修担当
TEL:0765-54-2211

【お知らせ】新任医師紹介

泌尿器科 七谷 直紀
専門:泌尿器科一般

臨床研修医1年生
柳澤 宏嘉

臨床研修医1年生
今村 芽依

臨床研修医1年生
垣内 知子

医師の異動

診療科 転出 転入
(6月14日付) 呼吸器外科 水島 伊佐美
(10月1日付) 泌尿器科 菱川 裕一朗 七谷 直紀

講演・勉強会のご案内

1. 新川胸部疾患検討会

日時 毎月第2木曜日
  • 18時30分~
  • 20時00分~
場所 中央棟3階 会議室6

2. 内科カンファレンス

日時 毎週火曜日
18時15分~
場所 中央棟3階 会議室6
ページトップへ戻る