産婦人科



産科
当院では、すべての妊婦さんがもって生まれた力を生かすことを基本に、愛情に包まれたお産ができるような場を提供します。お産は人生の中でも大きな出来事です。みなさんが安心して、新しく生まれる命を迎え入れられるようにお手伝いしていきます。妊婦さんは自らに備わったお産の力と愛情を最大限に生かし、助産師は妊婦さんに寄り添いサポートしていき、医師は妊娠・出産全体の管理を行い、みんなで安全で心の通う出産ができるようにします。 出産時にはなるべく妊婦さんの希望にそえるよう努めますが、医学的に安全性を損なう恐れがあると判断した場合は応じられないこともあります。まずは貴女のご希望をぜひお聞かせください。
診療内容
- 妊婦健診、分娩および妊娠中の手術、帝王切開など
- 分娩後の1か月検診
- 助産師によるマザーケア外来(助産師外来)
- 里帰り出産
出産について
- 妊婦健診はお近くの病院や診療所でも行えるよう病診連携・病病連携を行っています。
※妊婦健診のスケジュールをご覧ください。
- 合併症をお持ちの妊婦さんに対しては他の科の医師との連携をとって妊娠管理を行っています。
また、必要により高次病院との連携で母体搬送をしたり、逆搬送を受け入れたりしています。
- 妊娠14週、26週および34週に助産師によるマザーケア外来(助産師外来)を行っています。
- 当科の分娩取り扱い数は年間500〜600例です。当科では医学的に可能な限り、できるだけ自然な分娩、特に「経腟分娩」ということに取り組んでいます。
- 帝王切開既往の方、骨盤位、双胎妊娠において個々の症例で適応を吟味し、説明、同意が得られた場合は希望があれば経膣分娩に取り組んでいます。
VBAC、骨盤位分娩、双胎妊娠について - 帝王切開率が低いです。
詳細はこちらを参照ください
【緊急連絡先】
対応日時 |
連絡先 |
電話番号 |
---|---|---|
月~金曜日 (8:30~17:00) |
産科外来 | 代表番号 0765-54-2211 内線2061、2062 |
夜間、休日 | 母子医療センター(東病棟2階) | 代表番号 0765-54-2211 内線1200、1201 分娩担当助産師 1820 直通番号 0765-54-2681 |
母乳管理について
当院では妊娠中にマザーケア外来で助産師とバースプランを立案しています。その時に授乳に対するママの思いや心配事などについて確認し、一人一人のママに合った授乳方法の説明やマッサージの方法などをアドバイスしています。
出産後は再度ママの思いを確認し、その思いに寄り添い、赤ちゃんのおしっこの状況や体重の減り具合などを毎日チェックしながら、助産師間で個々のママに応じたオーダーメイドの授乳方針について話し合いをしています。赤ちゃんのリズムに合わせて授乳を行い一緒に過ごすことで、ママと赤ちゃんの心の安定が図れるように母児同室やファミリー同室も行っています。乳管が開きやすいようにマッサージを行い、ママが安心して授乳できるように心掛け、退院後ママ自身が育児に対して自立できるように支援していきます。
退院後はスクスク育児(1週間健診)で赤ちゃんの体重や黄疸、授乳状況、ママの健康状態を確認しています。また、電話による授乳相談や育児相談も行っています。スタッフ一同、ママと赤ちゃんが楽しく元気に過ごせるようにサポートしていきたいと思っています。
診療実績
当院は安全性を確保しながら経腟分娩を追及しているということに特色を持った病院であり、当科の帝王切開の割合は分娩数が500例を超える病院としては非常に低くなっています。
区分 | 令和元年度 | 令和2年度 | 令和3年度 |
---|---|---|---|
総分娩数 | 533 | 531 | 515 |
帝王切開率 | 14.8% | 17.1% | 21.2% |
婦人科
婦人科の病気でなにか心配なことがあれば気軽に婦人科を受診してください。ほんのちょっとした婦人科的症状(不正出血、おりもの、生理不順、腹部膨満)がとても重要で、がんの早期発見につながることもあります。また、他院での診断や治療に不安を感じたり、納得できないときも気軽に受診してください。
婦人科での診察にどうしても抵抗のある方は、予約制ですが、週1回(金曜日午後)、女性外来(産婦人科女性医師による外来)も開設しておりますので、どうぞご利用ください。
治療内容
婦人科がん治療の紹介
当科のがん治療では婦人科腫瘍専門医、がん治療認定医を中心として行っています。当科においてはがん患者に対して、手術や放射線などのがん治療が1日でも早く開始できるよう、CTやMRIなどの検査がスムーズにできるようにしたり、手術室と交渉したり、努力しています。さらに、緩和ケアや地域連携スタッフとも協力することで、治療中や退院後のサポートも充実させています。
子宮頚がん
子宮頚がん検診について
子宮頚がんの若年化が進み、20~30歳代の女性が過半数を占めるようになりました。前がん状態もしくは初期がんの段階で早期発見・早期治療できれば、妊娠するための子宮温存も可能です。このがんの発生には発がん性ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が不可欠であることがわかっています。一方、HPV感染がなければ、子宮頚がんになるリスクは極めて低いということになります。子宮頚がんは、ワクチン接種と定期的な検診で予防できるがんです。これまでの検診は細胞診(子宮頚がんを疑うような異常細胞がないかを顕微鏡で判定)にたよってきましたが、30%程度の見落としが問題となっていました。近年、HPV感染の有無を判定するHPV-DNA検査が開発され、この検査を併用することでほぼ100%の診断(ほとんど見落としがなくなる)が可能になりました。費用は従来の子宮がん検診に比べて3000円程度余分にかかりますが、細胞診と HPV-DNA検査が両方とも異常なかった場合、3年毎の検診でもよいこともわかっておりますが、残念ながら保険診療としては認められていません。
子宮頚がん予防ワクチンについて
子宮頚がんは、女性の命はもちろんのこと、妊娠や出産の可能性まで奪ってしまうこともある病気ですが、予防が可能となりました。子宮頚がん予防ワクチンは、発がん性HPVの中でも特に子宮頚がんの原因として最も多く報告されているHPV 16型とHPV 18型の感染を防ぐワクチンです。感染を防ぐために3回のワクチン接種で、発がん性HPVの感染から長期にわたってからだを守ることが可能です。このワクチンに含まれるウイルスには中身(遺伝子)がないので、接種しても感染することはありません。また、このワクチンは、すでに今感染しているHPVを排除したり、子宮頸部の前がん病変やがん細胞を治す効果はなく、あくまで接種後のHPV感染を防ぐものです。極めて稀ではありますが、重篤な副作用の報告がありました。患者自身で、ワクチン接種のリスクとベネフィットをご理解いただいた上での判断をお願いしております。
当科のワクチン接種の対象、方法、費用を下表に示します。
ワクチン接種の対象 |
10歳以上の女性 |
---|---|
ワクチン接種の方法 | 半年間で3回のワクチン接種を行います。 (初回、初回から1カ月後、初回から6カ月後) |
ワクチン接種の費用 | 42,870円(3回分) |
子宮頚がんの治療
患者の希望を参考にして治療オプションを提案させていただいております。
当科では0期のがん(上皮内がん)に対して低侵襲かつ確実な子宮頚部円錐切除による妊孕能温存手術で十分な治療効果を立証しています。また、Ⅰb期以上のがんに対する広汎子宮全摘術においては術後の排尿障害が問題となることが多いのですが、可能な症例においては、排尿をつかさどる神経を温存するようにしています。放射線療法が必要な患者では放射線科の協力でリニアック治療も行っています。
子宮体がん
子宮体がんの治療
子宮体がんの治療は術後進行期診断によって違いますが、患者の希望を尊重して治療オプションを提案させていただいております。主治療は手術療法ですが、必要な症例に対しては術後に化学療法の追加をおすすめしています。たとえば挙児希望が強いときは子宮を温存するためにホルモン治療を選択して厳重に経過観察する場合もあります。詳しいことは来院時に説明させていただきます。
卵巣がん
卵巣がんの治療
卵巣がんの治療成績は、化学療法の感受性ならびに手術療法の手技により異なります。当科では出来る限り腫瘍を摘出する積極的治療を基本とし、抗がん剤による補助治療も常に最新の治療方針を導入しています。
内視鏡(腹腔鏡)下手術の紹介
子宮筋腫、良性卵巣腫瘍、子宮内膜症等の良性疾患に対しては患者の希望に応じて、積極的に内視鏡を用いた手術を行っています。内視鏡下手術とは、開腹せずに腹腔鏡で腹腔内の様子をビデオスクリーンに写しだし、この画面を見ながら特殊な器具を使って手術を行う方法です。腹腔鏡下手術ではお腹に5から10mm程度の3ヶ所ほど小さな穴を開けるだけで手術ができます。傷が小さいため、術後の痛みが少ない上、傷はほとんど見えなくなるので美容上の利点もあります。3から4日という短期間の入院ですみ、社会復帰も早くなります。開腹手術に比べて腹腔内の癒着が起こりにくいともいわれ、不妊症患者の手術にも適していると考えられています。このような観点からも腹腔鏡下手術は今後ますます盛んになる手術法と考えられます。
当科では、子宮内膜症、卵巣嚢腫、子宮筋腫、子宮外妊娠、不妊症(卵管卵巣周囲癒着症や多嚢胞性卵巣)などを対象に腹腔鏡下手術を行っています。
子宮筋腫に対する腹腔鏡下手術
子宮筋腫は症状がなければ特に治療する必要はありませんが、巨大な子宮筋腫や月経量が増えるために貧血になってしまったり、便通が悪くなったり、尿が出にくくなってしまったりする場合や不妊の原因と考えられるような場合には手術を検討しなければなりません。当科では患者さんと話し合った上で、腹腔鏡下手術も積極的に行っています。手術方法として、子宮筋腫核出術(子宮筋腫だけを取り除き、子宮そのものは残しておく)と子宮全摘術があり、患者さんの状況によって選択しています。子宮筋腫核出術は未婚女性や妊娠・分娩を希望している女性に対して行われます。子宮は残りますが再発の可能性も残ります。
子宮内膜症に対する腹腔鏡下手術
子宮内膜症の発生頻度は生殖年齢女性の約10%といわれ、年々増えています。子宮内膜症に罹ると痙攣状の激しい痛み(骨盤痛・頭痛)に悩まされ、日常生活にも影響するばかりか、不妊症の原因にもなることがあります。当科では積極的に内視鏡手術を行っており、治療成績(痛みがなくなる、再発率が低下した、不妊症の成績が向上した)が大幅に改善しました。生理痛や不妊で悩んでおられる方は、是非受診して下さい。術後には月経痛や性交痛、排便痛などが著明に軽減され、生活の質は驚くほど改善します。また、不妊症の患者でも妊娠率が向上しています。
女性外来の紹介
毎週金曜日午後(要予約、電話予約可)
産婦人科女性医師による外来です。2次性徴のトラブル、月経やおりものの異常などを含む
全ての産婦人科疾患に対応します。お気軽に受診してください。
産婦人科漢方の紹介
産婦人科漢方は更年期障害、不妊症、不育症、妊娠悪阻、切迫流・早産をはじめ、全ての産婦人科疾患を対象とします。
産婦人科の患者に用いる漢方薬といっても非常に多くの種類があります。この中から個々の患者の病態に応じた処方を決めるのはなかなか大変なことです。当科では、受診していただいた患者に対して漢方的診察を行ない、その上で、患者の証(患者の体質や体力に関する漢方的診断)を考慮して処方致します。
スタッフの紹介
氏名 |
役職名 |
専門分野 |
認定 |
---|---|---|---|
![]() 日高 隆雄 |
副院長 産婦人科部長 がん診療センター所長 緩和ケア室長 かんわ支援室長 がん相談支援室長 |
婦人科腫瘍 腹腔鏡手術 婦人科漢方 |
日本産科婦人科学会 専門医・指導医 日本婦人科腫瘍学会 婦人科腫瘍専門医 母体保護法指定医 |
![]() 結城 浩良 |
産婦人科部長 地域医療連携室長 |
産婦人科一般 婦人科腫瘍 漢方治療 |
日本産科婦人科学会 専門医・指導医 母体保護法指定医 日本女性医学学会 女性ヘルスケア専門医 日本東洋医学会 漢方専門医 日本臨床細胞学会 細胞診専門医 日本人間ドック学会 人間ドック認定医 日本人間ドック学会 人間ドック健診情報管理指導士 |
![]() 才津 義亮 |
産婦人科医員 | 産婦人科一般 | 日本産科婦人科学会 専門医 母体保護法指定医 |
![]() 高森 さやか |
産婦人科医員 | 産婦人科一般 | 日本産科婦人科学会 専門医 |
![]() 寺西 穂波 |
産婦人科医員 | 産婦人科一般 | |
![]() 八木 萌 |
産婦人科医員 | 産婦人科一般 |
医療最前線(健康コラム)
医療最前線(健康コラム)は黒部市報「広報くろべ」に掲載した記事です。
・令和4年8月掲載 麻酔分娩について