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診療科・部門

呼吸器外科



当科の概要・特色

治療方針

新川地区唯一の常勤医体制のある呼吸器外科として、肺癌をはじめとする胸部悪性腫瘍、自然気胸や膿胸といった非腫瘍性良性疾患、胸部外傷などの救急疾患に対する外科治療を提供いたします。

手術実績としては、肺癌や胸腺腫といった胸部悪性腫瘍の手術を年間に約50例、その他、自然気胸や膿胸などの手術も合わせますと年間に約80-90例の胸部外科手術を施行しています。肺癌など一定のリスクを伴う手術の際には、富山大学からの人員サポートもありますので、早期病変に対する低侵襲手術から、隣接臓器合併切除・再建を要するような局所進行期に至るまで幅広く対応いたします。

手術については、身体の負担が少なく回復の早い胸腔鏡下手術を標準とし、病変のサイズや隣接臓器への浸潤に応じて開胸手術を選択する場合もあります。また、2023年からは、手術支援ロボットを用いた肺がんや縦隔腫瘍の手術も開始しています。

局所進行肺癌に対しましては、手術だけでなく、化学療法や放射線治療を組み合わせた治療の有効性が示されていますので、呼吸器内科や放射線科と連携のうえ、周術期治療につきましても最新のエビデンスに基づいた治療を提供いたします。

主な対象疾患

  • 原発性肺癌
  • 転移性肺癌
  • 良性肺腫瘍
  • 自然気胸
  • 胸腺上皮性腫瘍(胸腺腫・胸腺癌)
  • その他、縦隔腫瘍
  • 気管・気管支腫瘍
  • 気道狭窄症
  • 胸壁・胸膜腫瘍(胸膜中皮腫など)
  • 感染性疾患(膿胸、縦隔炎、肺化膿症など)
  • 胸部外傷

主な治療・検査設備など

  • 胸腔鏡下手術システム
  • ロボット支援下手術システム
  • 超音波気管支鏡システム
  • 手術支援3次元画像解析システム
  • CT装置
  • MRI装置
  • PET-CT装置
  • 超音波検査装置
  • 精密呼吸器機能検査

診療内容

1.原発性肺癌

最近の肺癌の外科治療は、様々な臨床研究の結果をもとに大きく変遷しており、当科でも腫瘍の特徴や患者さんの全身状態を考慮して最適な治療を提供するよう努めています。
ステージⅠの肺癌に関しては、これまでの標準術式は肺葉切除でしたが、画像技術の進歩によって腫瘍の病理学的な悪性度を推測できるようになったことで、区域切除を適応する機会が増加しています。区域切除は肺葉切除に比べて切除する肺の容積が少ないため、心肺機能を温存できるメリットがあります。区域切除の手術は、より細かな肺血管や気管支の処理が必要ですが、様々な内視鏡手術器具を用いることで、小さな傷で複雑な術式を施行することも可能です。高齢化や重篤な併存疾患のある患者さんも増加している中で、肺癌の悪性度と患者さんの身体機能を考慮して術式選択をしています。
ステージⅡやⅢの肺癌に対しては、周術期に分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬といった新しい薬剤を使用できるようになり、再発率のみならず予後も大きく改善しています。胸腔鏡下手術でも、従来の肺がん手術に準じたリンパ節郭清は可能ですが、肺血管や気管支の形成や隣接臓器の合併切除が必要と判断した場合には、開胸手術を選択しています。
また、当科でも消化器外科や泌尿器科と時期を同じくして、2023年9月より手術支援ロボット(da Vinciシステム)を使用した肺癌手術を開始しています。da Vinciシステムを用いた手術では、3次元モニター視野のもと、多関節かつ細径器具で手術できるため、より精緻な手術操作が可能です。さらには、通常助手が行うスコープ操作や臓器を展開する操作を、術者が4本のアームを使いながら手術できるという点で、より術者の意図を術野に反映させることも可能になります。
癌治療は患者さんの日常生活に大きく関わることから、近くの医療機関で適切な治療を受けられるメリットは大きいと考えますので、お気軽にご相談いただければ幸いです。

ICG蛍光造影法を用いた完全胸腔鏡下肺区域切除(左S9+10区域)

左肺癌での完全胸腔鏡下左上縦隔郭清

右肺癌でのロボット支援下右縦隔郭清

2.縦隔腫瘍

胸腺腫、神経原性腫瘍、リンパ系腫瘍、胚細胞性腫瘍、先天性嚢胞など様々な鑑別疾患が存在します。術前の生検による診断は困難なことが多いので、画像検査をもとに適切な診断的治療法を決定します。手術は主に胸腔鏡下手術あるいはロボット支援下手術にて行いますが、腫瘍サイズや周囲臓器への浸潤の程度によっては、開胸や胸骨正中切開で手術を施行します。

3.自然気胸

ブラという肺嚢胞に起因する原発性自然気胸、喫煙による肺気腫を伴う続発性自然気胸、月経や異所性子宮内膜に起因する気胸など様々な病態が存在します。手術では病変や背景肺に応じた術式を選択しますので、難治性に分類される気胸に対しても手術によって早期退院を目指します。

4.膿胸

肺炎や口腔内感染が進行すると胸腔内に膿瘍を形成することがあります。粘稠性の高い胸水が貯留するため、胸腔ドレーンによる排膿は困難で、手術による掻爬が有効です。また、原因菌の感受性に応じた抗菌薬の選択や、糖尿病など免疫に関わる併存疾患への介入も必要になります。

5.胸部外傷

交通事故、高所からの転落、スポーツでの受傷など病態は多岐にわたります。必要に応じて、胸腔ドレーンの留置や手術(止血、損傷部位の修復)を行います。胸部以外の臓器の損傷を併発している場合には、各診療科と連携して治療を行います。

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