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【研修医】メーコン黒部医療交流

大橋 純頼医師


米国研修を終えて 10月2日~28日

2023年10月初めよりジョージア州メーコンで4週間の研修をしてきました。COVID-19感染症の影響で中止されていた国際交流プログラムが去年復活し、今年も無事に研修ができたことを大変嬉しく思います。小宮先生および西村さんをはじめとした様々な先生方、職員の方々および現地でお世話になった方々には大変感謝しています。
アメリカ研修について
私は米国研修では家庭医学科と感染症科を2週間ずつローテートしました。両者とも日本では必要とされつつもまだまだ未発達な科であり、他国でこれらがどのような役割を果たしているのか知りたかったことと、自分が今後医師として診療を行っていく上で幅広い視野を身に着けたいと思ったからです。

まずはじめの2週間は家庭医学科をローテートしました。家庭医学科では主に外来見学を行いました。まず驚いたのは患者さんのいる診察室へ医師が入っていくことでした。日本では医師のいる診察室へ患者さんが入るので不思議な感覚でした。また、診察室にはベッドがなく歯医者さんでみるようなリクライニングができる診察椅子がありました。これも日本とは違うなと感じました。
次に驚いたのは糖尿病や高血圧などの多さです。アメリカの食生活はハンバーガーやステーキ、ピザなど高カロリーなものが多いが、消化力?も強いと聞いていたので実はそこまで生活習慣病は多くないのでは?と思っていましたが、やはり多かったです。
家庭医学科を受診する患者さんは本当に様々で、高血圧や糖尿病といった生活習慣病から冠動脈疾患、膠原病、性器出血、鬱病、摂食障害、術後疼痛、健診など多岐にわたっていました。成人だけでなく子どもも受診しており非常に幅広い知識が必要と感じました。
また、家庭医学科にはmedical studentが多く所属していました。自分の印象ではmedical studentの3年生、4年生が日本の研修医、それも非常に優秀な研修医に匹敵すると感じました。家庭医学科ではまずは彼らが病歴をまとめるなど一通り診察し、その後はresidentと一緒に再度問診、診察し、最後に上級医へと相談する流れで1患者あたり少なくとも30分ほどの時間を掛けていました。診察時間の長さやmedical studentの裁量権の大きさ、medical student → resident →上級医といった完全な屋根瓦方式が印象的でした。上級医はmedical studentやresidentの診療を真っ向から否定や対立することなくお互いの方針を尊重し治療方針を作り上げようとする意識が感じ取れました。
家庭医学科は日本で設置している病院はまだまだ少ないですが、受診したいけどどこを受診すべきかはっきりしない患者にとってなくてはならない診療科に感じました。

次の2週間は感染科をローテートしました。感染症科ではナビセント病院の本部棟での病棟管理が主な業務でした。自分が付いていたチームにはmedical studentは所属しておらずresidentとフェロー、チーム長と共に行動していました。感染症科でまず驚いたのはHIV感染の患者数の多さでした。日本でHIV感染の症例をみたことがありませんでしたがアメリカでは生活習慣病ほどは多くないにしても相応の数の患者がいて、HIV専門クリニックも存在するほどに患者数は多かったです。その他の症例でも術後感染の難治例や交通事故の創傷部からの感染といった症例からパラコクシジオイデス症やシャーガス病、kippel-trenaunay-weber症候群に伴う難治性の蜂窩織炎など聞いたことがないような珍しい症例(自分が不勉強なだけかもしれませんが笑)も経験することができました。また、週に2,3度ほどカートナー先生と一緒に病棟患者やクリニックの患者を診察させていただきました。カートナー先生は一人一人の患者を丁寧に問診し診察されており、その姿をみると自分はこれまで診察を丁寧にできていなかったのではと猛省し帰国後はしっかりと診察をしなければと思えました。
感染症科は日本で設置している病院は少ないですが、コロナ感染をはじめ、術後感染や難治性の感染、珍しい感染症などにおいて活躍する大切な科であり日本でももっと浸透してほしいと研修を通じて強く感じました。
アメリカ生活・観光について
上述したように、食事はハンバーガーなどジャンクフードが多く、ふつうは太ると思いますが、自分は下痢に何度かなったためかむしろ痩せました。大半のアメリカ人はハンバーガーの横についてくるフライドポテトを野菜だと思っており、日本で考えるところのまともな野菜を摂るのは非常に苦労しました。ナビセントヘルスの本部棟のラウンジではバイキング形式で食事を摂れますが、そこに日本で考えるところの野菜があったのでここぞとばかり山盛りにして食べていました。それ以外の場所で野菜を食べられることはありませんでした。また、食事はハンバーガーだけでは物足りないと思い、いろんな可能性にチャレンジしました。「米国なのでやっぱ米や!」と考え日本から無洗米のコシヒカリを持参していましたが滞在先のホテルの鍋の大きさや水の質が合わず芯の硬い米ができてしまい逆に苦しむハメになりました。日本食が恋しくなり寿司屋さんを探しては食べに行っていましたが、どの店も美味しくなかったです。しかも値段が高かったのでアメリカに日本食を求めてはいけないと痛感しました。特にCrabの寿司を注文した時にカニカマが出てきたときは「カマボコやないかぃ!」と何度もカマボコにツッコミを入れてしまいましたが、やはりカマボコの味しかしませんでした。また、豚骨ラーメンを出す店を発見して嬉しくて片道50分ほど歩いて食べに行きましたが、豚骨をわずかに感じるものの塩辛く、また具材もマッシュルームやゴマ卵などラーメンの具材に似つかわしくないものが入っておりあまりの合わなさに悲しくなりました。塩分濃度は富山ブラックラーメンもビックリの濃度で、とてもスープなど飲めたものではないですが近くにいた若い女性は同じようなラーメンをニコニコしながら食べており衝撃を覚えました。SAPPORO BLACKというビールを発見し、サッポロ黒ラベルをこよなく愛する僕は即座に注文しましたが、見たこともないようなまずい黒ビールが運ばれてきてやはり悲しくなりました。

観光としてはアトランタ観光を数回、メーコン市内観光も数回、あとは3週目に金~日の3日間休みをいただきフロリダ南部まで旅行しました。アトランタでは電車に乗りましたが車内で音楽を流す乗客がいることにびっくりしました。何度も電車に乗っているとわざわざ大きなスピーカーを持参して大音量で音楽を流し、他の乗客に手拍子を求めたり車内でダンスを始めたりと日本では考えられないような光景に何度も出会えました。アメリカ人はNo music, No lifeなんだと踊っていた黒人が教えてくれました。アトランタ市内観光ではコカコーラミュージアムや水族館、動物園、植物園、ストーンマウンテンなどを訪れ充実しました。一方、メーコン市内観光では観るところが特になく、ダウンタウンでストリートライブを観賞したりカフェ巡りをしたり19世紀の歴史的建造物であるHay House内ツアーに参加したりと頑張って観光名所を見つけ歩きました。フロリダではマイアミとキーウェストを訪れました。マイアミでは数十kmと続くビーチが有名でその中でも特に有名なサウスビーチを訪れ海水浴をしました。海は青くて透き通っており砂は白くて細かい、写真などで見たことがあるイメージ通りの南国のとても綺麗な海で泳げたのが良かったです。キーウェストではヘミングウェイ博物館やアメリカ本土最南端の記念碑、セブンマイルブリッジ、仮装パレードに参加し朝まで盛り上がるなどなかなかできない経験ができたのが良かったです。
言語について
言葉の壁は厚かったです。僕は英語がとても苦手なので特にそう感じました。「英語が苦手と言ってもどうせ話せるんでしょ?」とよく言われますが、渡米前の僕の英語力は中学英語も怪しく、外国人に話しかけられても黙るか逃げるぐらいしかできず、海外旅行でも物を指差す程度のコミュニケーションしかとれませんでした。僕は第一陣として渡米したためはじめにいくつかの歓迎会に招待されることが決まっておりもちろん指差しコミュニケーション以上のことが求められるため非常に不安でした。案の定、たくさん話しかけられ苦戦しました。はじめのうちはHow~?に対しアハ~ン!と答え気まずくなったりWhat~?に対しイエス!と答え怪訝な顔をされるなどありましたが、1週間ほど経つと間違えることにも慣れ、周囲の人も自分の英語力が怪しいことに気づき、グーグル翻訳で会話をしていただけるようになりました。フロリダ旅行をする頃にはボディランゲージも身に着け、どこまで通じているかはわかりませんが、なんとか会話をすることができていました。このように英語を話さざるを得ない、逃げられない環境でこそ人は成長するのだと身に染みて感じましたが、この先渡米される後輩達には日常会話程度は勉強していくことをオススメします。ちなみに帰国後に外国人とドライブに行く機会がありましたが、この研修で身に着けた英語力で会話し、楽しむことができたのでやっぱり行って良かったと感じました。

ジョージア水族館

アトランタ植物園

セブンマイル・ブリッジ

アメリカ最南端

家庭医学の先生方とディナー

感染症科の先生方と

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