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【研修医】メーコン黒部医療交流

宮本 悠輔医師


米国研修を終えて

2022年11月5日から26日までの3週間、ナビセントヘルスでの米国研修に参加しました。 荷物の量は不安の量と言いますが、海外に行くことにあまり不安がないためか、荷物は機内持ち込みサイズの鞄1つで収まりました。いまだに不安と腹痛に苛まれる午後救急や、当直の際救急外来に持って行く(結局いつも使わない医学書満載の)袋の方が重たいような気がします。
消化器内科志望ということもあり、研修は1週目に小児の消化器内科外来を、残り2週間は成人の内視鏡検査を中心に見学させていただきました。外来(小児)見学でまず驚いたのは医師がいる診察室に患者が入るのではなく、患者が待機している診察室に医師が診察しに行く点です。ベッドのある診察室が10室ほどあり、Dr. AmevorとDr. Israel がそれぞれの患者を予約順に診察していきます。それぞれの部屋には絵が飾られていたり、壁紙がカラフルだったりと子どもへの配慮がされているようでした。1人20~30分ほどの時間をかけて診察していたのですが、問診に割く時間が長く、本でよく見るReview of Systemsを初めて目の当たりにしました。診察後、患者と家族に診察結果を説明する際、臓器の絵を描いて説明していた点は分かりやすかったし、喜んで持って帰る子どももいて見習おうと思いました。また、遠方に住んでおり通院が難しい患者はビデオ通話を使って診察していました。便利である反面、得られる情報が対面での診察より少ないという難しさも感じました。

消化器内科(成人)には医師が5人おり、その内2人、Dr. JudahとDr. Andersonは外来の内視鏡検査のみを行います。1人の医師が 1日10~12人程度を担当し、胃カメラと大腸カメラを一度に行う患者も多くいました。内視鏡室には内視鏡医、麻酔科医、看護師、技師?(内視鏡の準備 や検査の補助をする)の4人がいて業務がはっきり分かれていました。内視鏡医が検査中に言った所見を看護師がカルテに記録し、生検などの補助は技師が行います。当院では医師と看護師 の2人で検査すると言ったら驚かれました。検査で腫瘍が見つかるなどして他科にコンサルト が必要な場合、専門の看護師に内視鏡医がメールで依頼すれば外科や腫瘍内科へのコンサルト、CTなど検査の予定を組んでくれるそうです。
病棟患者の内視鏡検査をDr. Comanが担当していました。ERCPを見学する機会があり、「僕、ERCPのとき透視出しています。」と言おうと準備していったのですが、当院にあるような装置はなく、放射線技師がポータブルのCアームで透視を出していました。色々なやり方があるのだと学びました。検査では全例プロポフォールを使用していたのが非常に印象的でした。嘔吐反射や体動がなく、内視鏡の挿入も容易で検査が非常にスムーズに進んでいきました。当院ではプロポフォール使わないと言ったら全員にとても驚かれました。

検査に使うカメラは見慣れたオリンパスでしたが、長さ50cm、直径2cmはある食道拡張用ダイレーター、食道に留置してphを計測する機器、液状の止血剤といった今まで見たことのないデバイスも使われていました。日本ではあまり聞かない印象だったのですが、指導医はセリアック病をよく鑑別に挙げて生検をしていました。アメリカでの有病率は1%(日本では0.05%)だそうで、スーパーやレストランにグルテンフリーの表示がよく見られました。

生検といえば、当院では1ヶ所で検体採取するごとにホルマリン液に入れていますが、指導医は1 度に2~3ヶ所で検体採取していました(採取したものは全て体外に出てくるのだろうか)。GISTを疑い生検した際は、内視鏡室に技師が待機し顕微鏡で確認、その場で診断を確定させていました。このように日米で色々な違いがあったことから、分からないことなどはできる限り質問するようにしていたのですが指導医は丁寧に答えてくれました。今後の方針についてガイドラインを見ながら説明してくれたり、同じ疾患に対する日米での治療法の違い(バレット食道腺癌に対して アメリカではEMRとRFAを行う)で盛り上がったりと非常に勉強になりました。
日々の生活や週末の過ごし方にも触れておこうと思います。 病院への行き帰りはUBER(配車サービス)を呼んでいたので毎回違うクルマに乗れるのが楽しみでした。カローラ、プリウス、カムリ、RAV4といった日本でもおなじみのトヨタ車、日産だけど国内では販売してないALTIMA、SENTRA、韓国のヒョンデ(ソナタがモデルチェンジして生産されていて驚いた)、キア、いろんなアメ車、買おうか悩んだA4やパサートなど、多くの車に病院まで連れて行ってもらいました。ドライバーも陽気なお兄さん、話し好きなお母さん、前の遅い車にクラクション連打しつつ、言わないほうがいいと習った英単語を絶叫するおじさんとダイバーシティを見せつけてくれました。
食事は、朝食はホテルで昼食は病院内で済ませていましたが夕食はほぼ毎日宮崎、石川と外食していました。アメリカのものを食べよう!と意気込んで毎回店を探すものの出てくるのはステーキ、ハンバーガー、ピザの店ばかり。日本は食べ物の選択肢が広いのだと気付かされまし た。食べるものはほぼステーキ、ハンバーガー、ピザのローテーションでしたが同じ店に行ったのは1度だけ、頑張って食べ歩きました。滞在中1番食べたのは大体なにを頼んでもついてきたジャガイモだと思います。ステーキと同じ大きさのベイクドポテトが出てきたかと思えば、フライドポテトがステーキの下に敷き詰められていたり、ハンバーガーを取り囲んでいたりと姿形を変えいつも目の前に現れてくれました。夕食直後は、もう食べられないと思うのですが、ホテルに戻るとアイスを食べることが日課になっており、スーパーに売っていた200mlサイズのアイスは全種類美味しくいただき、500mlサイズ を食べ始めたころ帰国日となりました。

最初は食事代金を円換算し、その額に震えていたのですが慣れとは恐ろしいものです。次第に円換算しなくなり、ドルは円より桁が少ないのでなんとなく金額が少ないように感じるようになりました。支払いは石川と宮崎に全額立て替えてもらっていたので財布も痛まず、食べたいものを好きなだけ食べていたのですが帰国し我に帰った今、2人からいくら請求されるのか不安に駆られています。毎晩4桁カロリーの夕食を3週間続けたにもかかわらず、体重の増加は3kg弱に留まりました。あまり増えてないと安心したのも束の間、帰国翌日学会の地方会に参加しないといけないのにスーツが入らないアクシデントに見舞われました。

アメリカに到着した翌日、石川、宮崎とアトランタに行ってきました。幼少の頃から愛飲しているコーラの本社がアトランタにありWorld of Coca Colaは是非とも訪れたい場所でした。入場直後に「コーラを飲めばハッピーになれる」映像を鑑賞したあとはコーラの歴史や製造工程 に関する理解を深めた後、世界各国コカコーラ社製品を試飲できます。普通のコーラが1番という結論に至り、1日1Lはコーラを飲んでいました。
2度目の週末は石川、宮崎と男3人Disney World2泊3日の旅。4つあるテーマパークのうちハリウッド・スタジオとアニマルキングダムに行きました。若者2人が頑張ってくれたおかげで後ろからついていくだけでスターウォーズのミレニアムファルコンを操縦したり、アバターになって空を飛んだりでき、ほとんどのアトラクションに乗れたと思います。ありがとう。

普段ジェットコースターは乗らないのですが、せっかくなので乗ってみました。楽しいものの恐怖が勝り、乗っている間は「まじかー」を連呼していました。最初に急加速するエアロスミスのジェットコースターに乗った直後から頚部に違和感と運動時痛を自覚、1週間くらい症状が持続しました。頚椎捻挫だったのではないかと思っています。

最後の週末は再びアトランタへ。アメフト観戦してきました。アトランタ・ファルコンズの本拠地であるメルセデス・ベンツスタジアムは収容人数71,000人のドーム型スタジアムです。開閉式の屋根の下に大型スクリーンがあり遠くの席からでも試合を楽しめます。対戦相手のシカゴ・ベアーズサポーターの皆さんに囲まれての観戦は緊張感がありましたが、ファルコンズが接戦をものにし勝利の余韻に浸りつつ帰途につきました。

帰国前日はThanksgiving Day。空港近くのホテルに移動するまで時間があったので指導医おすすめのターキーが食べられる店に行ってみました(ターキーは昼からの提供で食べられず)。日本の祝日だと人通りが普段より多いイメージですが、店はほとんど閉まっており人通りも少なかったです。そんなアメリカの祝日を甘くみており、ホテルに戻るUBERがなかなか捕まらず焦りましたが無事アトランタまで移動し、翌日機内でコーラを嗜みつつ帰国しました。

早速羽田で何か食べようと思ったのですが全ての食べ物が小さい、円安だったにも関わらずステーキはアメリカの方が安い。トンカツ定食では全然お腹は満たされず、コーラの飲み過ぎかお茶の味がしないことに愕然としました。アメリカにかなり順応していたようです。 振り返ってみて研修、プライベートともにかなり充実した3週間だったと思います。

最後にこのような機会を与えてくださった黒部市民病院とナビセントヘルスにこの場を借りてお礼申し上げます。

3週間分の荷物

Dr.Judah(左)と技師のRick

内視鏡室

内視鏡センター外来患者の待機室

World of Coca Cola

ジョージア水族館

ジェットコースター

ステーキとポテト

ハンバーガーとオニオンリング

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