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【研修医】メーコン黒部医療交流

桶屋 こむぎ医師


アメリカ研修を終えて

あっという間の5週間でした。私は主に精神科で研修をしてきました。具体的には、Navicent healthでのDr, Philipsの他科コンサルト見学、Mercer clinicでのDr. Haleの外来見学、医学生と一緒に講義の受講、日本の精神科医療に関するプレゼンテーション、昨年黒部にいらっしゃっていたDr. Gilbreathのご厚意で連れて行っていただいたAtlantaにあるDr. Blankの依存症治療センターの見学を行ってきました。

研修全体を通して日米の医療のよい点/悪い点に関して考えさせられました。米国の医療のほうがいいなと思った点は、精神科の平均入院日数が短いことです。退院後も半日入院として外来に継続して通院し、心理療法を行っているため、急性期を過ぎたらすぐに退院が可能です。これにより退院から日常生活に戻るハードルも下がると思います。また、日本と比較して患者さん自身に治療方針を考えさせているのも印象的でした。「自殺したいとは思わなくなった?自分では退院できると思う?」「不安が強くなったのは何でだと思う?どの薬増やすのが調子よくなるかな?」といった具合です。
その反面、米国の医薬品の高さには驚きました。同じインヴェガ(抗精神病薬パリペリドン)が米国ではなんと10倍の値段になっています。個人が加入する保険の種類によっては保険適応にならない場合もあり、なったとしても負担額がとてつもなく、途中で内服を継続できなくなるパターンもまれではないそうです。日本だとどの薬局でも処方薬は同じ値段だし、基本みんな保険適応だよというとかなりびっくりされました。国民皆保険すごいです。
悲しいのが、治療薬を買えないために幻覚を抑える自己治療として違法薬物に手を出す患者さんも少なからずいることです。薬物もかなり大きな問題だと感じました。特にオピオイド中毒はかなり深刻です。尿路結石や歯痛にもオピオイドが処方され、それを求めてERを渡り歩く人もいるようです。(処方しないと医師が疼痛除去に努めなかったと告発されて警察に突き出されることもあるそう。ジレンマですね)ベンゾジアゼピンやオピオイド、中枢神経刺激薬は州全体で処方が管理されるシステムは運用されるようになったのですが、裏で高用量の違法薬剤が出回っており根本的な解決には至っていない状態です。
と、偉そうにいろいろ書いてはきましたが、英語にはかなり苦労させられました。病棟で患者さんに問診とMOCA(認知テスト)をとる機会が2回あったのですが、どちらも患者さんの認知の問題ではなく、私の発音の問題で質問が分かってもらえていないだけなのでは?と冷汗をかきました。精度の怪しいMOCAはカルテに取り込まれていきましたが・・・5週間では英語は上達せず、分かっていないのにうまいこと相槌を打つタイミングだけはとっても上手になったと思います。まだまだ修行が必要です。
研修以外の時間も、友人に映画(Weathering with you; 天気の子)に連れて行ってもらって日本文化を再確認したり、料理を持ち寄って食べて自分の料理能力の欠如を再確認したり、本場のディズニーで年越ししたり、0泊3日でグランドキャニオンに行ったり、目いっぱい楽しませていただきました。初めの1,2週間は研修内容がいまいちはっきりせず、辻先生に助けを求めて急遽調整していただいたり、クレジットカードの仕組みを理解していなくて利用停止になったり、旅行先で運転手と本気で喧嘩したり、滞在中にホテルを追い出されそうになったりもしましたがそれらも今となっては全ていい思い出です。

最後に、このような機会を与え、支えてくださった皆様、現地でお世話になった先生方、スタッフの皆様に感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

Dr.Philipsはコーラが大好きです

Brian(中央)がカツカレーを
作ってくれました

$1ショップに売っていた(!)
妊判と薬物チェッカー

Dr.Haleの話し方は素敵です

メーコンはビールがおいしいです

アンテロープキャニオンも
よかったです!

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