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【研修医】メーコン黒部医療交流

松井 望医師


米国研修感想文

2019年12月14日から4週間、ジョージア州メーコンのNavicent Health医療センター産婦人科で研修しました。大変だったこともありますが、振り返ってみるととても楽しかったことが伝わるように書きたいと思います。

研修初日、明るく迎えてくださったのは看護部長の秘書であるルースさん、OBGYNのキッチン先生、バトラー先生です。キッチン先生ははじめからグーグル翻訳を用意しており、英語が不安なわたしはちょっと安心しました。
1日目はレジデントに付いてハイリスク妊娠の外来見学をしました。状況把握がとても大変でした。この人はナース?ここは診察室?カルテを書くのは別の部屋??といった様子です。超音波検査などは前医での結果を参照するか、訓練したナースが行うので、医師はほとんど検査をしません。と思いきや、子宮底長と胎児心拍数だけは医師がしっかり測っていました。肥満妊婦さんも多いですが、患者さんが入った診察室に医療者側の人々が出入りする方式のため、重たい人をほとんど動かさずに全て終わるという、納得のシステムでした。
2日目以降は、見やすい手術があるときは手術チームに、ないときは分娩チームに入れてもらいました。かなり困ったのは、決まった指導医がいないこと、予定表がないことです。手術を見ているとき以外、自分がどこにいて何をしたらいいのか分かりません。タイミングを見計らってレジデントに話しかけるしかない。診察や分娩の気配を察知したら、わたしも一緒に行く!と言おうと待ち構えました。しかし、数時間だれも待機室から動きませんでした。徹底した分業により、レジデントはイベントがない限りほとんどの時間、カルテを書いたり関連病院に電話をかけたりして過ごすということに気が付きました。いわゆる放置状態の中、ここでは見学者をわざわざ構ったりしないんだな、黙って立っているだけの外国人は何もできないな...とネガティブ思考が発動しました。が、2日もすれば少し成長し、放置される前に話しかけることができるようになりました。I want to see delivery. I want to see C-section. と、事ある毎に言い続けていたら、日に日に、ほら行くよ。と声をかけてもらえるようになりました。英語で話しかけるコツがあるとしたら、空気を読まないことでしょうか。
手術チームでは、朝早く7:30頃から手術が始まります。外来手術の日は縦に6件見学し、うち4件は腹腔鏡でcystectomyなどを行いましたが、次々と進み18:30には終了しました。ラパロって日帰りでできるんだ。という驚きがありました。患者さんは自発呼吸が出たらすぐに抜管され、外来用の術後ケアユニットで観察の後、自宅に帰っていきました。少し心配になりましたが、アメリカでは普通とのことです。入院の手術では、ロボット手術が楽しみでした。実際に見ると、DaVinciの固定に時間がかかることはありましたが、自分の手のように滑らかで精密な動きが可能で、視野も安定し、剥離作業がスムーズでした。画面にポインターが出てきたり、術者がマイクで会話したり、英語が3倍くらい格好よく聞こえました!シミュレーターがあると聞いた後、毎日やりたいと訴えたところ、とうとう最終日には、忙しい合間を縫って体験させてくれました。黒部にあったらみんな喜ぶだろうな、と思いました。
分娩チームでは、経腟分娩よりも帝王切開を多く見学しました。学生さんが冬休みの時に、帝切の術野に入れてもらいました。アメリカンサイズの妊婦さんには相当サイズの器具が必要です。ザッテルだと思ったら、筋鈎でした。回診で印象に残ったのは、入院の必要性や今後の方針について、毎日のように患者さんと話していたことです。次々とリスクを述べられ、OK?と言われると、怖気づいてしまいそうです。しかし、患者さんの多くは真剣に耳を傾けて質問しており、医療を受ける態度が積極的だと感じました。一方、10代の精神的にも幼い妊婦さんや薬物依存などのリスクをもつ妊婦さんも入院していました。そんなときは、若いレジデントでさえ母親や担任の先生のような口調で、教え導こうとする姿勢で彼女たちに関わっていました。患者-医療者、医師-その他の医療者の関わり方という点で、見習うべきことが多くありました。
病院外での経験もまた、米国研修の目的の一つといえます。12/24には、今年度黒部に来られたギルブレス先生方とともにアメリカンシーフードの夕食を楽しみました。キッチン先生には12/25にご自宅でのクリスマスディナーにお招きいただきました。メーコンのクリスマスは、1週間も前からみんなが楽しみにしているイベントで、街のいたるところにツリーやかわいい装飾品がみられます。イブと当日は病院やスーパーを含めた多くのお店も休みになります。少し静かですが、クリスマスを祝う本気が伝わってきました。街の一番大きな教会のミサを見学したときは、立ったり座ったり煙を炊いたりベルを鳴らしたり忙しいよね。とギルブレス先生が率直な感想を述べていておもしろかったです。
楽しかったことは言い尽くせないほどで、忘れずに大切にしたい記憶です。貴重な経験をさせてくださったナビセントヘルスの皆さんと、黒部市民病院の先生方や研修医のみんな、そして、黒部市とメーコンの絆に感謝しています。

DaVinciのシミュをしている
写真を撮って!とせがみました。

キッチン先生のご自宅で

病院やメーコンの案内人と
なってくださったギルブレス先生、
同期のこむぎちゃん、わたし

ハンバーガーおいしい!

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