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【研修医】メーコン黒部医療交流

三田 和芳医師


Navicent Healthでの研修

研修の一環として2週間MaconにあるNavicent Healthに伺いました。Maconはジョージア州にある町で中心部は富山市くらいの都市ですが、それ以外は黒部以上に田舎でした。自然が多くて、建物が少なく、空がとても広く感じて美しかったです。

Navicent Healthは都市部にあって、黒部市民病院と病床数に大きな差はありませんが、アメリカの入院日数が日本より短いこともあり、病院の規模はNavicent Healthの方がかなり大きかったです。看護師をはじめとした職員の数にも大きな差がありました。
Navicent HealthではCVICUという心血管患者専門のICUと血管内治療を主に見学しました。CVICUでは、PCPSやIMPELLAといった、黒部市民病院では見ることができないようなデバイスを使った重症心不全患者に対する治療が行われていました。IMPELLAは最近日本でも承認されており、今後日本でも普及していくと考えられます。血管内治療の件数も黒部市民病院よりはるかに多く、TAVIや僧帽弁クリップ術、WATCHMANを用いた左心耳閉鎖術などを見学しました。これらも黒部市民病院では経験できない治療であり、WATCHMANについてはまだ日本では保険適応外治療です。これらのような日本においてもまだあまり行われていない先端医療をこの目で見られたのは非常に良い経験でした。

その他にもNavicent Healthでは驚くようなことが多々ありました。まず病院内にマ○クがあることです。日本の病院でも喫茶店などが入っていることはありますが、マ○クが入っている病院はないと思います。食堂の代わりにマ○クがある感じで、多くの生活習慣病患者が通う病院にこんなあからさまなファーストフードがあって良いのでしょうか...。また、病棟では医師・看護師をはじめとしたスタッフが患者さんのいるところで普通にお菓子やご飯を食べていることに驚きました。患者さんやその家族も全く気にしている様子はなく、さすがアメリカ、なんとも自由だなと思いました。一方、患者さんは、黒部市民病院では水以外の飲み物は自分で買いに行かなければなりませんが、Navicent Healthでは患者さんが要求したものをスタッフが買いに行かなければならないらしく、仮にそれがコーラとかでも特に気にしないとのことでした。また、家族はICUでも24時間面会可能で、よく病室の椅子で家族が寝ているのを見かけました。アメリカでは家族が入院すると休みがもらえる制度があるらしく、それも相まって、家族につきっきりで看病している姿はとてもほほえましく、家族を大切にした良い制度だなと思いました。
患者さんが自分の病気について深く理解していることにも驚かされました。多くの患者さんが自分の病気についてよく理解しており、どうしてその薬を飲んでいるのかなどもちゃんと知った上で薬を飲んでいるように感じました。黒部市民病院の救急外来でみる患者さんは自分が何の薬を飲んでいるのかわからない人も多く、かなり疾患の理解に差を感じました。外来も日本とは大きく違っていて、部屋がいっぱいあって医者が使う部屋は固定でなく、先に患者さんがどれかの部屋に通されて待っており、診察のたびに医師がオフィスから患者さんが待っている部屋に行き、診察が終わるとオフィスに戻るという制度でした。日本の多くの病院ではその日の医師ごとに診察室が固定でそこに患者さんが通されるという制度をとっていると思われます。日本のすべての病院がそうではないと考えますが、ちがった見方をすれば、日本では診察室は医師のものであり、Navicent Healthでは診察室は患者さんのものであるともいえます。そういったところに日本とアメリカの医療の根本的な考え方の違いが現れているのではないかと、ふとまじめなことを考えたりもしました。

Navicent Healthのスタッフの方々はとても親切で、英語のほとんどわからない私に対しても積極的に話しかけてくださいました。しかし、やはり言っていることはあまり私に伝わらないし、私の言っていることもあまりわからないようで、携帯をサッと取り出してG○ogle翻訳を多用しながら会話をしてくださいました。そのおかげで、全く不自由なく研修を終えることができました。日本とアメリカの医療の差など様々な知見を広げることができ、とても充実した研修でした。

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