2024年 当院から1名の看護師が米国研修に行ってきました!
米国研修を終えて
黒部市と姉妹都市であるアメリカジョージア州メーコン市のナビセントヘルス医療センターへ研修に行ってきました。私は英語が苦手どころか全く話せないため、正直あまり行きたくはありませんでした。しかし異文化を体感することで自分の視野を広めたい、自分達の医療看護が正しいのか確認したい思いが勝り、スマホの翻訳機能を信じて研修に行く事を決めました。研修期間は4週間で最初の1週間は当院のスタッフ含め3人でしたが、残りは1人でした。1人きりになった途端、とても不安で怖かったですが、開き直って楽しみました。スマホの翻訳で英語は何とかなりました。でも電話で会話ができないのは一番困りました。
研修は希望を聞いてもらいICUが中心でしたが他にも様々な部署に見学に行かせていただきました。ICUだけでも内科、医療、外傷、循環、脳神経など複数に分かれています。ナビセントのスタッフに聞いても、ICUって何個だっけ?どこだっけ?っていうくらいに広くて多い。アメリカと日本の疾患で大きく違うのは圧倒的に外傷の数でした。外傷のためだけのICUと病棟があるくらいです。交通外傷、銃創、麻薬などアメリカでは非常に多く問題になっています。研修初日、まだ2時間くらいしか経過してない時に、腹部切創Tir1の患者がドクターヘリで搬送されてきました。コードトラウマが発動され、トラウマベイ(外傷特殊処置室)に運ばれ、10人以上のスタッフが入り乱れて治療検査に取り掛かる衝撃的な映像でした。さらに衝撃だったのは、四肢に手錠が掛かっている事。この患者は服役中の方で、施設内での暴力により受傷したそうです。とても驚いていましたが、スタッフの方は「え、こんなの普通だよ、何言ってんの」と笑っていました。ナビセントでは1週間銃創患者を見ない事はあり得ない、多い時は1日3人銃創患者が来ることもあるそうです。日本の平和な現状を話すと、あり得ない、日本が羨ましいと毎回言われました。
さらに驚いたのはアメリカの看護師が医療行為を行える範囲が非常に多い事です。先ほどのドクターヘリで搬送された患者に同行していたのはフライトナースのみです。医師が同行していないのです。麻酔看護師も特殊でした。開胸、冠動脈バイパス手術中の術中から帰室するまでの管理は全て麻酔看護師が行います。麻酔科医師は挿管、心拍再開の時、緊急時以外は来ないそうです。他の軽度な手術の場合は挿管から抜管まで全て麻酔看護師が行うなど衝撃的でした。呼吸療法士の裁量も大きく、人工呼吸器管理、記録も含め全て行う、経口挿管、血液ガス、Aライン、抜管など必要だと判断されればその時に行えます。ただし彼らはかなり高度な知識や技術を習得しています。医師と協力して行うのは当然なのですが、医師が最初に診察していなくても行えるのは凄いですよね。診療看護師(NP)もとても活躍していました。ナビセント内でも多数活躍しているのですが、特にナビセント以外の医師が少ない施設ではとても重宝されていました。当院でも特定行為看護師が増えてきています。アメリカと同じとはいかないのですが、柔軟に活躍できる事を期待します。
一昨年当院に来日したレスリーさんの教育を体験させていただきました。ICU看護師クラス、初級クラスという事でしたが、とても難しい内容で面白かったです。これを無料で受講できるなんて、なんて羨ましいんだ!って思いましたが、受講している方はそうでもない。日本も変わらないなと思います。日本とは看護師の働き方が違い、休暇がとにかく多い。12時間勤務なので週3日しか勤務しません。だからその分自分の事ができる。大学に通ったり、勉強する時間が確保できるとも言っていました。働き方はとても羨ましかったです。
仕事を分業しているのも特徴的でした。当院も看護助手などが増えてきていますが、アメリカは比べようもないくらいに分業がしっかりしている。検査への搬送はポーターと呼ばれる方が独立して行う。点滴や酸素がどれだけであろうが、急変していなければ搬送します。採血も臨床検査技師?みたいな方が行う。清拭なども看護助手、准看護師の方が行う。バイタルサインも基本は看護助手、准看護士が行います。他にも多くの多職種と協働していました。搬送や検査の時に、状態変化があった場合対応が困難では?と聞いたのですが、そうした場合の教育も行っており、検査技師であってもACLSなど習得しているそうです。ナビセントの病床数は600程度、従業員は4500人以上、看護師が約1000人、看護師比率は一般病棟で5:1程度ですが、それでも回転率が非常に高く、業務は非常に多いため看護師は忙しい。
アメリカの医療看護を学ぶ事で自分の働き方、仕事へのスタンスも見直したいと考え直しました。医療看護については今私達が行っている事は間違っていません。看護師やスタッフが不足しているのはアメリカも同様です。当院で行なえる最善の医療看護は提供できており、後は工夫していくしかないのだろうと感じました。ナビセント医療センターと当院では病院に求められている事も違います。私達、私にできる事を精一杯頑張っていきます。
他にもコードブルー、RRS、訴訟への対応、看護記録、脳死判定・臓器提供、保険制度の違い、看護師の給料・地位、働き方、メンタルヘルス、医療費などの問題、貧困格差、Uberの事、食事の事、私の体重が増えた事、物価高、治安の事、メジャーリーグ観戦など体験してきた事は山のようにあるのですが、書き切れないのでここまでにします。
ナビセントヘルス医療センターのスタッフの方々、英語も話せない私に非常に優しく親切にしていただいたこと、とても感謝しています。貴重な研修体験をさせていただいた当院スタッフ、家族に深く感謝します。
八倉巻 考司(集中治療棟)
研修は希望を聞いてもらいICUが中心でしたが他にも様々な部署に見学に行かせていただきました。ICUだけでも内科、医療、外傷、循環、脳神経など複数に分かれています。ナビセントのスタッフに聞いても、ICUって何個だっけ?どこだっけ?っていうくらいに広くて多い。アメリカと日本の疾患で大きく違うのは圧倒的に外傷の数でした。外傷のためだけのICUと病棟があるくらいです。交通外傷、銃創、麻薬などアメリカでは非常に多く問題になっています。研修初日、まだ2時間くらいしか経過してない時に、腹部切創Tir1の患者がドクターヘリで搬送されてきました。コードトラウマが発動され、トラウマベイ(外傷特殊処置室)に運ばれ、10人以上のスタッフが入り乱れて治療検査に取り掛かる衝撃的な映像でした。さらに衝撃だったのは、四肢に手錠が掛かっている事。この患者は服役中の方で、施設内での暴力により受傷したそうです。とても驚いていましたが、スタッフの方は「え、こんなの普通だよ、何言ってんの」と笑っていました。ナビセントでは1週間銃創患者を見ない事はあり得ない、多い時は1日3人銃創患者が来ることもあるそうです。日本の平和な現状を話すと、あり得ない、日本が羨ましいと毎回言われました。
さらに驚いたのはアメリカの看護師が医療行為を行える範囲が非常に多い事です。先ほどのドクターヘリで搬送された患者に同行していたのはフライトナースのみです。医師が同行していないのです。麻酔看護師も特殊でした。開胸、冠動脈バイパス手術中の術中から帰室するまでの管理は全て麻酔看護師が行います。麻酔科医師は挿管、心拍再開の時、緊急時以外は来ないそうです。他の軽度な手術の場合は挿管から抜管まで全て麻酔看護師が行うなど衝撃的でした。呼吸療法士の裁量も大きく、人工呼吸器管理、記録も含め全て行う、経口挿管、血液ガス、Aライン、抜管など必要だと判断されればその時に行えます。ただし彼らはかなり高度な知識や技術を習得しています。医師と協力して行うのは当然なのですが、医師が最初に診察していなくても行えるのは凄いですよね。診療看護師(NP)もとても活躍していました。ナビセント内でも多数活躍しているのですが、特にナビセント以外の医師が少ない施設ではとても重宝されていました。当院でも特定行為看護師が増えてきています。アメリカと同じとはいかないのですが、柔軟に活躍できる事を期待します。
一昨年当院に来日したレスリーさんの教育を体験させていただきました。ICU看護師クラス、初級クラスという事でしたが、とても難しい内容で面白かったです。これを無料で受講できるなんて、なんて羨ましいんだ!って思いましたが、受講している方はそうでもない。日本も変わらないなと思います。日本とは看護師の働き方が違い、休暇がとにかく多い。12時間勤務なので週3日しか勤務しません。だからその分自分の事ができる。大学に通ったり、勉強する時間が確保できるとも言っていました。働き方はとても羨ましかったです。
仕事を分業しているのも特徴的でした。当院も看護助手などが増えてきていますが、アメリカは比べようもないくらいに分業がしっかりしている。検査への搬送はポーターと呼ばれる方が独立して行う。点滴や酸素がどれだけであろうが、急変していなければ搬送します。採血も臨床検査技師?みたいな方が行う。清拭なども看護助手、准看護師の方が行う。バイタルサインも基本は看護助手、准看護士が行います。他にも多くの多職種と協働していました。搬送や検査の時に、状態変化があった場合対応が困難では?と聞いたのですが、そうした場合の教育も行っており、検査技師であってもACLSなど習得しているそうです。ナビセントの病床数は600程度、従業員は4500人以上、看護師が約1000人、看護師比率は一般病棟で5:1程度ですが、それでも回転率が非常に高く、業務は非常に多いため看護師は忙しい。
アメリカの医療看護を学ぶ事で自分の働き方、仕事へのスタンスも見直したいと考え直しました。医療看護については今私達が行っている事は間違っていません。看護師やスタッフが不足しているのはアメリカも同様です。当院で行なえる最善の医療看護は提供できており、後は工夫していくしかないのだろうと感じました。ナビセント医療センターと当院では病院に求められている事も違います。私達、私にできる事を精一杯頑張っていきます。
他にもコードブルー、RRS、訴訟への対応、看護記録、脳死判定・臓器提供、保険制度の違い、看護師の給料・地位、働き方、メンタルヘルス、医療費などの問題、貧困格差、Uberの事、食事の事、私の体重が増えた事、物価高、治安の事、メジャーリーグ観戦など体験してきた事は山のようにあるのですが、書き切れないのでここまでにします。
ナビセントヘルス医療センターのスタッフの方々、英語も話せない私に非常に優しく親切にしていただいたこと、とても感謝しています。貴重な研修体験をさせていただいた当院スタッフ、家族に深く感謝します。
八倉巻 考司(集中治療棟)
LEVEL Ⅰ 外傷センターのスタッフと
フライトナースと
レスリー&ドナと
色んなおもてなしを受けました
May the force be with you
ハンバーガーは10個以上食べました
食べ過ぎて途中から数えなくなりました
でっかいピザ美味しかったです
当然1人で完食!