「医療用麻薬」は怖くない!?
黒部市民病院 緩和ケアセンター部長
小林 孝一郎 医師
小林 孝一郎 医師
「医療用麻薬」という言葉を知っていますか?麻薬という言葉に不安を感じる方もおられると思いますが、WHO方式がん疼痛治療法に従えば安全に使うことができ、7〜9割の痛みを緩和することができます。また、痛みだけではなく、息苦しさを緩和するためにも使う大切な薬ですが、「中毒になる」「寿命が縮まる」「モルヒネを使うともうおしまいだ」といった誤解をされていることがよくあります。痛みや息苦しさというのは、本当につらいものです。苦しいと眠れませんし、食べられなくなります。苦しみがある中で何かを考えることは難しいですし、いつまで続くのかという不安があると、日常生活や仕事にも悪影響を及ぼし、がんの治療自体が困難になることもあります。「医療用麻薬」を適切に使うことで、患者さんの生活の質が改善するのはもちろん、がん治療に取り組むための気力と体調を整えることができます。医師から提案されたときには、自分らしく生きるため、怖がらずに使ってください。