令和2年度 黒部市民病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 520 173 261 370 435 541 1003 2000 1495 543
 令和2年度に当院において退院した患者さんを年齢階級別(10歳刻み)に集計したものです。
 全退院患者数は7,341人でコロナ禍により前年度より894人減少しています。高齢化が進んでいることもあり70歳代の患者さんの割合が27%と最も高く、60歳以上の患者さんの割合は69%で前年度と比較して2ポイントの増となります。
 また新川医療圏の小児急患センターを併設し、地域周産期母子医療センターの指定を受けていることから、10歳未満の患者さんも多くなっています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 131 15.76 13.00 12.98 80.57
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2なし 123 24.56 20.51 44.72 86.60
050130xx9900xx 心不全 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 115 20.86 17.23 10.43 82.31
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。) 手術・処置等21あり 85 11.94 14.60 7.06 68.33
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む。) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術 65 3.32 2.66 0.00 77.55
① 尿路感染症は尿の出口(尿道口)から細菌が尿路に進入することで生じます。したがって男性よりも尿道の短い女性に多いです。一方、男性の場合、前立腺炎をきたすことがあります。膀胱で感染が留まる場合は膀胱炎と呼ばれ、細菌がさらに上行し腎臓まで進入すると腎盂腎炎を起こします。尿路感染は尿の中に細菌がいることを確認して診断します。無症状のものから高熱を伴うものまで症状は幅広いですが、無症状であれば薬物治療は行わないことが多いです。頻尿や残尿感、排尿時の痛みがあれば尿路感染症を疑います。さらに背部痛や高熱が出ると急性腎盂腎炎を疑い、しばしば血液中に菌が移行する菌血症を伴います。症状を有するが発熱を伴わない場合、抗生物質の内服にて治療しますが、急性腎盂腎炎にまで至るとしばしば重症化して入院が必要となり、点滴にて抗生物質を投与します。繰り返す場合、尿路結石や膀胱尿管逆流症など器質的疾患がある可能性もあり、泌尿器科で薬物以外の治療が必要となることがあります。

② 誤嚥性肺炎は誤嚥が原因の肺炎で高齢者や寝たきりの方に多く発症します。抗菌薬による治療を行います。治療が効きにくかったり誤嚥のため肺炎を繰り返すことがあります。肺炎が治っても他の持病や体調の改善が十分でなく入院が長引くことがあります。

③ 心不全とは心臓が何らかの原因で弱ってきたため呼吸困難やむくみをきたす病態でその原因は虚血性心疾患や心臓弁膜症、心筋症、不整脈、その他非常に多岐にわたっています。その原因によって治療方針が異なりますが、一般的には進行性の病態であり、寛解、増悪を繰り返しながら悪化していくとされています。
  狭心症は心臓を栄養する冠動脈と呼ばれる血管が主に動脈硬化で細くなり心臓の筋肉に一時的な酸欠状態(虚血)を生じる病気で、その治療方針を決定するためには冠動脈にカテーテルを使用して造影する検査が重要です。

④ 当院では糖尿病重症化予防に積極的に取り組んでいます。重症化予防のために最も重要なことは発症早期の正しい診断と長期間にわたる治療継続です。多職種で構成する糖尿病チームが患者さんと一緒にオーダーメイドな治療方針を考え決定します。血糖が安定したら地域の先生方と連携して、無理なく糖尿病治療を続けることが可能となる循環型の診療をこの地域に根付かせることを目標としています。

⑤  日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、男性65%、女性50%です.そのうち、がん罹患数の第1位、第2位である大腸癌、胃癌、そして大腸や胃のポリープ(イボのように隆起したもの)に対応して内視鏡治療を行っています。内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)を用いて癌やポリープを観察し、必要に応じて切除・摘出を行っています。進行度により手術治療を行う場合もあり、外科との連携をとりつつ診療にあたります。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重2500g以上) 手術なし 手術・処置等2なし 143 3.93 6.13 0.70 0.00
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 36 6.06 6.46 0.00 3.08
140010x299x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害(出生時体重1500g以上2500g未満) 手術なし 手術・処置等2なし 33 8.88 11.19 3.03 0.00
150040xxxxx0xx 熱性けいれん 手術・処置等2なし 20 3.70 3.96 0.00 1.50
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 16 5.56 13.00 0.00 2.00
妊娠期間短縮、低出生体重に関連する障害(出生時体重2,500g以上及び出生時体重1,500g以上2,500g未満)
 当院は新川地域の周産期母子医療センターの役割を担っています。
 産科との密な連携が大切で、隔週で行われる周産期カンファレンスを軸に、情報の共有化に努めています。
 また、地域の産科施設、県内の高次NICU施設とも連携しています。
 当院ではNICUの入院基準を原則、在胎33週以降、出生体重1,500g以上としており、リスクの大きな出産に関しては、あらかじめ県内の高次病院へ母体搬送を考慮します。
 一方、小児循環器医による胎児心エコーも行っており、出生前に重症の心疾患の存在を把握できるよう、努めています。
 妊娠期間が短いほど、新生児は未熟である可能性が高く、出生後に医療介入が必要になる頻度も高くなります。

喘息
 小児の喘息入院は、以前に比べると減少していますが、好発期の発作や感冒契機の発作で入院になるケースはよくあります。
 当院では、呼吸器クリニカルパスを用いて、症状の観察・評価をわかりやすくし、適切な時機に退院できるよう努めています。
 喘息は、急性期の発作だけでなく、ふだんの管理(長期管理)が大切です。成人と共通する部分もありますが、小児特有の対応も必要であり、近隣のクリニックとも連携しつつ、当院の外来でも多くの子供達をフォローしています。

熱性けいれん
 小児、とくに未就学児では、発熱時にけいれんを起こすことがあります。10人から15人に一人といった頻度です。
 とくに、突発性発疹症、インフルエンザ、夏に流行するヘルパンギーナ、ロタウイルス腸炎、などで起こりやすい印象をうけます。けいれんはふつう5分以内に治まります。けいれんを起こした場合、基本的に病院を受診すべきです。
 何回も起こす場合は、脳波検査を行い、ジアゼパム坐薬(ダイアップ坐薬)での予防の対象となります。

尿路感染症
 乳幼児の発熱の原因として見逃してはならない重要な疾患の一つです。とくに女児では注意が必要です。
 尿路感染症を繰り返すと腎瘢痕化など後に腎機能に影響を及ぼすことがあるため、適切な医療が必要です
 適切な治療を行っても尿路感染症を繰り返す場合は膀胱尿管逆流などの腎尿路系の奇形の有無について評価を行います。

てんかん
 小児の無熱性のけいれん、意識障害の原因として大部分を占めます。
 頭部MRIや脳波検査などにより、てんかんと診断された場合は発作の頻度、発作型に応じて抗てんかん薬による治療を行います。
 ほとんどの症例では単剤で発作のコントロールが可能で神経発達予後は良好です。
 数年にわたって発作がない場合は脳波検査を行いながら薬剤の減量を開始します。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 61 5.75 4.86 0.00 68.98
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 37 4.95 5.44 0.00 34.19
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 33 17.03 16.19 9.09 75.64
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等1なし 27 10.41 10.30 0.00 65.19
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 26 6.62 6.41 0.00 61.42
 がんなどの悪性疾患から急性虫垂炎や急性胆のう炎などの緊急手術を要する疾患、また、鼠径ヘルニアなどの一般外科疾患に至るまで、幅広い疾患に対応しています。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 119 27.13 25.09 56.30 82.29
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 41 22.20 18.81 60.98 82.12
070350xx01xxxx 椎間板変性、ヘルニア 内視鏡下椎間板摘出(切除)術 後方摘出術等 39 6.10 10.36 0.00 58.51
160760xx97xx0x 前腕の骨折 手術あり 定義副傷病なし 38 2.95 5.18 0.00 60.05
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む。) 人工関節再置換術等 35 20.29 23.36 0.00 72.34
 整形外科の入院患者の半数以上を骨折が占めますが、転落事故のような高エネルギー外傷からとくに誘因のない骨折まで様々です。昨今の高齢化社会では軽微な外傷による骨脆弱性骨折が増加しています。

1 股関節・大腿骨近位部骨折は高齢者に発生することの多い骨脆弱性骨折の代表で、大腿骨近位部骨折のほとんどで手術を行っています。疼痛、機能障害は高度でギプス固定など外固定が困難でもあり、通常、緊急入院となります。長期臥床により合併症の危険性が高く、救命の意味でも早期に手術を選択することが多くなっています。社会復帰にはリハビリも要すため、在院日数も長くなり転院でのリハビリ継続も多くなっています。

2 胸椎、腰椎以下骨折損傷は胸腰椎に何らかの要因で骨折をきたしたものです。明らかな外傷性のものもありますが、近年は高齢者の軽微な外傷による胸腰椎の椎体骨折が増加しています。破壊が高度の場合や麻痺をきたしているような骨折では手術が選択されますが、高齢者の骨折では疼痛管理、コルセットなどの外固定、リハビリなど保存的治療が中心となっています。骨癒合には時間を要し、転院での治療継続が多くなっています。

3 椎間板ヘルニアは青壮年の代表的腰痛疾患ですが、多くは通院での各種保存的治療により改善しています。入院となるのは難治性のものや神経障害の高度のもので、手術治療を行っています。昨今は低侵襲の内視鏡手術が増加し、入院期間は短縮し、前例自宅退院しています。

4 前腕の骨折は橈骨遠位端骨折(手関節)に代表される前腕部分の骨折です。転倒の際、手をついて受傷することが多く、破壊が高度なものや整復位の保持が困難なものでは手術を選択します。ギプスによる疼痛管理も可能で予定入院が多く、早期に退院し、通院でのリハビリを行っています。

5 膝関節症は加齢による変形性膝関節症が大多数ですが膝関節の障害に対して保存的治療で改善を得られない方に入院、手術を行っています。関節の破壊の程度により骨切り術を選択することもありますが、破壊の高度な高齢者では人工膝関節置換術を行うことが多くなっています。高齢者においても生活の質向上が望まれ増加を続けており、術後成績も安定し、ほとんどが予定通りの経過で自宅退院しています。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160200xx0200xx 顔面損傷(口腔、咽頭損傷を含む。) 鼻骨骨折整復固定術等 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 12 3.42 5.28 0.00 29.33
020230xx97x0xx 眼瞼下垂 手術あり 手術・処置等2なし 11 2.45 3.07 0.00 68.55
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) その他の手術あり 手術・処置等1なし 11 3.27 4.76 0.00 40.18
070010xx010xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く。) 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術等 手術・処置等1なし 5.39
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2なし 7.71
 形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 "Quality of Life" の向上に貢献する、外科系の専門領域です(日本形成外科学会HPより抜粋)。
 扱う疾患は多岐にわたり、当院でも様々な疾患に対して治療を行っています。良性・悪性を含めて皮膚・皮下腫瘍摘出術が主な手術となり、外来日帰り手術が大半を占めています。入院手術としては、腫瘍摘出術に伴い生じた皮膚欠損部に対する植皮術(全層植皮術、分層植皮術)や皮弁形成術を要するもの、顔面骨骨折整復術(鼻骨骨折整復固定術、頬骨骨折観血的整復術)、眼瞼下垂症手術等が挙げられます。また熱傷や外傷(神経縫合術、創傷処理)や壊疽病変の切除(四肢切断術、デブリードマン)など緊急手術等も行っております。また副耳や多指症、合指症などの先天奇形も手術対象となります。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010040x199x0xx 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10以上) 手術なし 手術・処置等2なし 28 22.21 22.35 60.71 76.32
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 26 11.62 12.04 7.69 78.62
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 20 10.85 8.18 10.00 70.50
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 16 9.88 15.64 31.25 77.88
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 12 13.33 18.86 58.33 77.75
 脳梗塞は急性期治療が終わるとリハビリ病院へスムーズに転院できる仕組み(脳卒中連携パス)があるため在院日数は短くなっています。
 頭蓋・頭蓋内損傷、非外傷性頭蓋内血腫は、リハビリや療養が必要な場合、内科疾患例えば腎透析や呼吸器合併症がない限り速やかに後方支援病院へ転院し、加療を継続させていただいております。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 24 12.08 10.83 0.00 69.92
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの)等 手術・処置等1なし 15 8.87 8.50 0.00 48.33
040200xx01x00x 気胸 肺切除術等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 13 5.23 10.08 0.00 38.85
040150xx97x00x 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 29.23
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし 9.42
 肺疾患、甲状腺疾患全般の手術を行っています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx02x00x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 18 2.17 8.15 0.00 66.83
050180xx02xxxx 静脈・リンパ管疾患 下肢静脈瘤手術等 2.74
050161xx9900xx 解離性大動脈瘤 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等2なし 17.53
050170xx02000x 閉塞性動脈疾患 動脈形成術、吻合術 指(手、足)の動脈等 手術・処置等1なし、1あり 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 16.13
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等21あり 33.50
 下肢静脈瘤では進行すると皮膚炎や色素沈着、皮膚潰瘍などをきたします。圧迫療法などに加えて、必要であれば下肢静脈血管内焼灼術や瘤切除が行われます。
 閉塞性動脈硬化症では足の虚血により歩行時の足の痛みや進行すると足の壊死などをきたします。薬など保存的治療でも改善しない場合は血管内治療やバイパス手術などが行われます。
 慢性腎不全では継続的な血液透析が必要となる場合があり、そのため血管ルートとして内シャント作成術等が行われます。
 大動脈瘤は多くは無症状ですが、症候性の大動脈瘤や拡大した大動脈瘤は破裂のリスクが高くなるため、予防的に人工血管置換術等の手術を行います。
産婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 子宮全摘術等 53 9.28 9.45 0.00 33.17
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 47 5.79 6.10 0.00 43.49
120140xxxxxxxx 流産 27 3.48 2.42 0.00 31.89
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 手術・処置等2なし 25 2.00 3.11 0.00 43.68
120170x199xxxx 早産、切迫早産(妊娠週数34週未満) 手術なし 24 17.17 21.68 16.67 30.50
 当科は新川医療圏の基幹病院として、また、周産期母子医療センターとして地域産婦人科開業医との強い連携のもとに成り立っています。
 コロナ禍の中で、分娩数は昨年に比しても維持されているが、切迫早産等に関しては患者数が減少しています。
 手術目的の患者数は概ね維持されています。
 良性疾患は可能な限り内視鏡下手術の方針としており、開腹手術と比較して、低侵襲手術であるため、早期退院が可能となり、在院日数の短縮化に寄与しています。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり片眼 414 2.27 2.76 0.00 76.63
020200xx9710xx 黄斑、後極変性 手術あり 手術・処置等1あり 手術・処置等2なし 15 5.47 6.49 0.00 69.40
020240xx97xxx0 硝子体疾患 手術あり片眼 5.65
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり両眼 4.95
020240xx97xxx1 硝子体疾患 手術あり両眼 7.56
 白内障手術は1泊2日又は2泊3日で手術を行っています。
 硝子体手術は1週間程入院して、術後の経過が問題なければ退院となります。
耳鼻咽喉科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030428xxxxxxxx 突発性難聴 37 7.16 8.81 0.00 56.49
030240xx01xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎 扁桃周囲膿瘍切開術等 27 6.85 8.44 0.00 51.74
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 22 4.77 6.71 0.00 58.41
030390xx99xxxx 顔面神経障害 手術なし 22 7.09 9.17 0.00 56.14
030430xx97xxxx 滲出性中耳炎、耳管炎、耳管閉塞 手術あり 20 2.15 3.14 0.00 5.50
 耳鼻いんこう科の対応する疾患は耳、鼻、副鼻腔(ふくびくう)、のど、頸部(くび)、唾液腺(耳下腺や顎下腺)、甲状腺と多岐にわたり、手術の患者さんや、点滴などの手術以外の治療(保存的加療とよびます)を要する患者さんなど様々な病態の方の診察と治療を行っています。
 その中でも当院は突然片方の耳の聞こえが悪くなる突発性難聴の点滴を中心とした点滴加療や高圧酸素療法の治療、入院治療を要する急性扁桃炎、扁桃周囲膿瘍、喉頭浮腫などの急性気道感染症の方々の治療、鼻副鼻腔炎の手術症例、顔面神経麻痺に対する点滴加療やリハビリテーション施行、主に0歳から2歳頃までの免疫機能が未熟な乳幼児が、急性中耳炎を繰り返す反復性中耳炎のお子さん達の手術や、滲出性中耳炎、慢性中耳炎の方々の入院加療が入院症例の上位を占めていました。そのほか甲状腺、唾液腺、喉頭、下咽頭などの治療を行っています。
 入院期間が全国平均に比較し短めであるのも当院の特徴の一つです。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病なし発症前Rankin Scale 0、1又は2 24 12.96 15.64 70.83 73.83
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー 手術・処置等24あり 16.95
010230xx99x00x てんかん 手術なし 手術・処置等2なし 定義副傷病なし 7.48
010060x2990421 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1なし 手術・処置等24あり 定義副傷病2あり発症前Rankin Scale 0、1又は2 28.59
010155xxxxx2xx 運動ニューロン疾患等 手術・処置等22あり 16.14
脳梗塞の急性期治療を行うとともに、発症早期(遅くとも入院2日目まで)からリハビリテーションを行います。急性期治療は1週間程度で終了しますが麻痺が残る場合が多く、地域医療連携室スタッフが関わり急性期治療終了後速やかにリハビリテーションを専門に行う回復期病院へ移れるように連携を図っています。糖尿病などの基礎疾患がある場合には、基礎疾患の治療・管理のために若干入院期間が延びる傾向にあります。
再発を繰り返しやすい多発性硬化症や慢性炎症性脱髄性多発神経炎などに対しては、ステロイドパルス療法や免疫グロブリン療法、血漿交換なども積極的に行って症状の回復を図っています。
 てんかんの診療は通常外来で薬物療法を行いますが、意識障害を伴う発作を起こして救急搬送された場合には経過観察のため1~2日入院していただきます。自動車運転の可否についての判断も行います。
 根治療法のない筋萎縮性側索硬化症ですが、ラジカット点滴治療による行うことで進行を遅らせる症例もあり、対象患者に対して治療を行っています。また在宅人工呼吸器療養の支援も行っており、訪問診療や家族の介護負担軽減のためのレスパイト入院を行っています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 53 7.89 9.12 1.89 69.75
080010xxxx0xxx 膿皮症 手術・処置等1なし 38 8.82 12.87 0.00 71.37
080190xxxxxxxx 脱毛症 3.38
080110xxxxx0xx 水疱症 手術・処置等2なし 28.91
080090xxxxxxxx 紅斑症 10.48
 一般的な急性期病院の皮膚科入院患者の約8割は、帯状疱疹と急性膿皮症(蜂窩織炎・丹毒など)であり、これは当院でも同じです。そこで当院ではクリニカルパスを導入し、入院期間の短縮を図っております。一部の重症患者を除き、約9割の患者はパスの設定(帯状疱疹:8日間、蜂窩織炎・丹毒:9日間)されたとおりに退院しており、全国平均からみても平均在院日数が少なく、短期間で退院をしております。
 また今年度は脱毛症が3番目に多く、こちらは全て難治性の円形脱毛症に対するパルス療法のための入院です。こちらもクリニカルパスを導入し、3日間の設定どおり全ての患者で予定どおり退院しております。
 4番目は自己免疫性水疱症(水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡など)の入院ですが、高齢発症が多く、難治性のため平均入院日数が長くなる傾向があります。適切な治療を早期より導入することにより、全国平均に比較し、当院の在院日数はかなり短縮できております。
 5番目には、紅斑症(多形紅斑、結節性紅斑)であり、こちらも適切な診断・治療により、全国平均に比較し平均在院日数が短くなっております。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 手術・処置等1あり 42 2.10 2.54 0.00 72.69
11012xxx04xxxx 上部尿路疾患 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術(一連につき) 35 2.97 2.66 0.00 60.60
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等2なし 24 8.46 7.13 0.00 72.42
11012xxx020x0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術 手術・処置等1なし 定義副傷病なし 11 8.64 5.67 0.00 64.91
110420xx02xx0x 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 定義副傷病なし 4.13
 泌尿器科では前立腺癌の有無を調べる前立腺生検を多く行っています。尿路結石に用いている体外衝撃波の結石破砕装置はドイツのシーメンス社製ですが、結石を細かく破砕できるという特性があります。また膀胱腫瘍の治療は主に全身麻酔下での内視鏡を用いた経尿道的膀胱腫瘍切除術を行っています。初診で肉眼的血尿があり、膀胱腫瘍が疑われる場合、放射線科、麻酔科と連携し、即日CT検査を行い、そのまま同日手術を行う場合もあり、早期の対応を目指しています。また、上部尿路結石に対して、内視鏡手術も行っており、結石の位置や大きさなどにより、硬性鏡、軟性鏡を用いてレーザーでの砕石を行っています。結石性腎盂腎炎や水腎症による急性腎後性腎不全に対して、必要な場合は速やかに尿管ステント留置や腎瘻造設によるドレナージを行い、状態の改善を図っています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 26 16 10 23 36 1 8
大腸癌 10 25 32 25 37 65 1 8
乳癌 17 14 11 32 1 8
肺癌 12 11 16 41 38 105 1 8
肝癌 36 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
 各癌種において、早期から進行、再発から終末期に至るまで、それぞれの病期に応じた適切な治療を心がけています。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 24 8.42 55.29
中等症 89 16.42 79.27
重症 12 27.92 86.83
超重症
不明
市中肺炎は自宅で生活している人が発症する肺炎です。一般に高齢者ほど重症化しやすく、重症者ほど入院は長くなる傾向にあります。
軽症の多くの方は外来で治療可能です。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 142 18.25 77.43 49.36
その他 14 20.43 81.00 4.49
 3日以内に来院した患者さんが圧倒的に多いですが、4時間半以内に頭部CTが終わっている患者さんは実は20%にすぎません。しかしこれら患者さんには血栓溶解療法(アルテプラーゼ注射)が可能であり、三分の一の方達は劇的に症状が改善します。また6時間以内に来院された患者さんは、血栓回収療法(血管内治療)が可能です。それ以外の方は抗血小板薬の注射や内服、リハビリテーションを行うことになります。また心原性塞栓症といって、心房細動を代表とする不整脈からくる脳梗塞の鑑別が大事になります。3日以内に来院されない方は、症状が軽いか、認知症だと思っていた、最初しびれていただけだったが麻痺が出現したなどの理由でした。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 76 2.37 2.39 0.00 77.47
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) 56 0.80 1.70 0.00 71.66
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 56 1.52 23.61 5.36 75.02
K654 内視鏡的消化管止血術 49 1.94 16.31 18.37 77.27
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術(不安定狭心症) 24 0.08 10.04 0.00 71.54
 がん罹患数の第1位、第2位である大腸癌、胃癌、そして大腸や胃のポリープ(イボのように隆起したもの)に対応して内視鏡治療を行っています。内視鏡(胃カメラや大腸カメラ)を用いて切除・摘出を行います。摘出した病気の部位は、病理検査にて、良性悪性の最終診断や、悪性の場合は深達度を評価し、その後の適切な治療につなげます.
 消化管の潰瘍、癌、静脈瘤、憩室などから出血を生じている場合には、内視鏡を用いて止血術を行います。
 胆管癌・膵臓癌や総胆管結石などによって閉塞性黄疸を生じることがあります。その診断のためにERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)や、ステント留置によるドレナージ(滞留した胆汁を排出すること)処置を行っています。

 進行した慢性腎不全に対して血液透析を行う場合、上肢の動脈と静脈を吻合する手術を行い、内シャントを作成します。血流の豊富な内シャントに針を刺して、脱血し、透析機器に通すことによって毒素や余分な水分を除去します。内シャントの内腔が狭くなると、血流が十分に得られなくなり、透析の効率も不十分になるため、経皮的シャント拡張術・血栓除去術で治療します。当院では、超音波検査にてシャントの狭窄を確認したのち、一泊入院して、血管撮影室で、手術に準じた清潔な環境で放射線科専門医によりカテーテル治療をしています。シャント血管に造影剤を注入し、狭窄している部位を確認します。次に、先端にバルーン(風船)がついたカテーテルという管を挿入し、狭窄病変でバルーンを拡張することによって治療します。翌日、透析を行い、血流が回復していれば退院となります。何度か繰り返す場合も多いです。

 不安定狭心症は狭心症の中でも心筋梗塞に移行しやすい危険な病態で、冠動脈の狭窄部に緊急でステントを留置する血管内手術を行う事も多いです。今回提示された人数には実際には心筋梗塞に至っている例も含まれているため平均術後日数が長くなる原因となっています。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K300 鼓膜切開術 12 1.00 2.42 0.00 0.75
K9131 新生児仮死蘇生術(仮死第1度)
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満)
K7151 腸重積症整復術(非観血的なもの)
K384-2 深頸部膿瘍切開術
鼓膜切開術
 上気道炎などの経過中に合併し、耳鼻咽喉科の医師に依頼して施行してもらっています。

リンパ節摘出術
 細菌感染やその他悪性疾患等でリンパ節腫脹をきたす場合があります。多くは感染症で治療により軽快しますが症状が長引く場合には診断確定のため部位に応じて外科や耳鼻科医師に依頼して摘出し病理診断を行います。

腸重積症整復術 
 腸が腸内に入り込んでしまい、早期に整復しないと腸管が壊死してしまうため、高圧浣腸を用いた整復を行います。解除出来ない場合開腹が必要となり小児外科との連携が重要です。

新生児仮死蘇生術
 出生後呼吸や心拍が十分でない新生児に対して心臓マッサージや気管内に管を入れ人工呼吸をほどこします。処置が遅れると低酸素脳症など重篤な後遺症を残すため速やかな対応が必要とされます。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 45 0.84 5.96 0.00 63.27
K634 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(両側) 42 1.02 3.69 0.00 66.40
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 34 4.18 11.85 8.82 74.41
K6335 鼠径ヘルニア手術 21 1.38 3.90 0.00 70.81
K7181 虫垂切除術(虫垂周囲膿瘍を伴わないもの) 20 0.05 3.20 0.00 31.05
 腹腔鏡を用いた低侵襲手術に積極的に取り組んでいます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿) 103 1.96 22.47 52.43 78.46
K0462 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨) 60 1.15 10.02 3.33 63.68
K0821 人工関節置換術(肩,股,膝) 57 1.16 20.98 0.00 71.67
K134-22 内視鏡下椎間板摘出(切除)術(後方摘出術) 40 1.50 3.58 0.00 58.28
K0811 人工骨頭挿入術(肩,股) 37 2.51 22.70 40.54 78.22
1 骨折観血的手術(肩甲骨,上腕,大腿)は体幹に近い部位での骨折に対して転位の整復・骨癒合めざし、主に金属製のプレート、髄内釘、スクリューを用いて固定します。早期の疼痛改善・離床、機能回復、社会復帰が目的であり、全身状態に応じてできるだけ早期に手術を行ったうえでリハビリを開始します。多発外傷や合併症の併発、また、高齢者の骨脆弱性骨折の場合は受傷前より運動機能が低下しており機能回復には時間を要します。代表的疾患である高齢者の大腿骨頚部骨折では平均年齢も高く地域全体の医療・療養機関と連携して転院でのリハビリを継続しています。

2 骨折観血的手術(前腕,下腿,手舟状骨)は体幹より遠い部分での四肢の骨折に対して「1」と同様の目的に整復・骨接合手術を行っていますが比較的年齢が低く、術後は在宅療養も早期に可能となり通院でリハビリを行うことが多くなっています。

3 人工関節置換術(肩,股,膝)は加齢、疾病(リウマチ、臼蓋形成不全など)外傷、腫瘍など種々の原因により関節機能が破綻した場合に関節を人工物に置き換えるものです。最も多いのは加齢による変形性膝関節症に対する人工膝関節置換術です。入院前に十分な術前検査を行い、入院後はクリニカルパスに沿ってほとんど同様の治療経過となります。術前に機能障害の著しい人は転院でのリハビリを継続していますが、概ね予定通り自宅に退院されており成績の安定した手術です。

4 腰椎椎間板へルニアに対して内視鏡を用いて行う手術です。従来の内視鏡手術よりさらに低侵襲の全内視鏡的手術を実施しており、数㎜の皮膚切開で行います。術後疼痛も軽減し、手術翌日には歩行を開始し、2~3日で退院可能となっています。術前に全身管理を要す場合や疼痛コントロール不能のための緊急入院では術前日数を要しますが、通常手術前日か当日の入院です。

5 人工骨頭挿入術(肩,股)は大腿骨や上腕骨の近位部での外傷、疾病(大腿骨頭壊死など)腫瘍などで修復不能なものに対して近位端の関節部(骨頭)を置換するものです。最も多いのは大腿骨近位部骨折のひとつで転位を伴う大腿骨頚部内側骨折です。正常な骨癒合を得にくく人工骨頭挿入術を選択しますが、高齢者が主で転院での治療継続も多くなっています。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K333 鼻骨骨折整復固定術 10 1.00 1.10 0.00 24.00
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩,上腕,前腕,大腿,下腿,躯幹)
K2193 眼瞼下垂症手術(その他)
K0151 皮弁作成術、移動術、切断術、遷延皮弁術(25cm2未満)
K2191 眼瞼下垂症手術(眼瞼挙筋前転法)
 形成外科とは、身体に生じた組織の異常や変形、欠損、あるいは整容的な不満足に対して、あらゆる手法や特殊な技術を駆使し、機能のみならず形態的にもより正常に、より美しくすることによって、みなさまの生活の質 "Quality of Life" の向上に貢献する、外科系の専門領域です(日本形成外科学会HPより抜粋)。
 扱う疾患は多岐にわたり、当院でも様々な疾患に対して治療を行っています。良性・悪性を含めて皮膚・皮下腫瘍摘出術が主な手術となり、外来日帰り手術が大半を占めています。入院手術としては、腫瘍摘出術に伴い生じた皮膚欠損部に対する植皮術(全層植皮術、分層植皮術)や皮弁形成術を要するもの、顔面骨骨折整復術(鼻骨骨折整復固定術、頬骨骨折観血的整復術)、眼瞼下垂症手術等が挙げられます。また熱傷や外傷(神経縫合術、創傷処理)や壊疽病変の切除(四肢切断術、デブリードマン)など緊急手術等も行っております。また副耳や多指症、合指症などの先天奇形も手術対象となります。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 28 0.46 10.36 10.71 78.46
K1781 脳血管内手術(1箇所)
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術
K1771 脳動脈瘤頸部クリッピング(1箇所)
K654 内視鏡的消化管止血術
 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術は、脳神経外科で最も多い手術です。高齢者に多い疾患で軽い頭部外傷の2−3ヶ月後に発症し麻痺や意識障害を起こします。局所麻酔で手術を行うことで、ほとんどの患者さんの症状が改善し自宅や元の施設へ戻って行かれます。
 脳血管内手術とは、破裂・未破裂いずれの脳動脈瘤にも行っている治療法です。カテーテルを用いて血管の中から脳動脈瘤の内部をプラチナコイルで塞栓する方法です。
 経皮的頚動脈ステント留置術とは、動脈硬化で細くなった頚部内頚動脈に対し脳梗塞の予防のため、バルーンで膨らませた後、メッシュ状のステントを血管内において再狭窄しないような治療です。
 脳動脈瘤頸部クリッピングは、くも膜下出血を起こした患者さんの脳動脈瘤に行う手術です。術後に遅発性脳血管攣縮や水頭症の併発が起こりやすく、4週間程度の入院の後、約半数の方はリハビリ病院へ転院されています。
 内視鏡的消化管止血術は消化器内科の先生にお願いして、消化管出血を内視鏡的に止めていただくものです。高齢化、抗血小板薬や抗凝固薬の合併症で、消化管出血が見られる方が若干増えていますが、消化器の先生方に適切に対処いただいております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超える) 19 2.95 10.05 0.00 72.11
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除)) 14 1.36 3.07 0.00 42.29
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術(片葉のみ)
K496-2 胸腔鏡下醸膿胸膜又は胸膜胼胝切除術
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除)
 肺悪性腫瘍、良性腫瘍ともにほとんどの手術を胸腔鏡下(内視鏡下)で行っています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 20 0.00 1.00 0.00 68.00
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈)
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建を伴うもの))
K6105 動脈形成術、吻合術(その他の動脈)
 下肢静脈瘤では進行すると皮膚炎や色素沈着、皮膚潰瘍などをきたします。圧迫療法などに加えて、必要であれば下肢静脈血管内焼灼術や瘤切除が行われます。
 閉塞性動脈硬化症では足の虚血により歩行時の足の痛みや進行すると足の壊死などをきたします。薬など保存的治療でも改善しない場合は血管内治療やバイパス手術などが行われます。
 慢性腎不全では継続的な血液透析が必要となる場合があり、そのため血管ルートとして内シャント作成術等が行われます。
 大動脈瘤は多くは無症状ですが、症候性の大動脈瘤や拡大した大動脈瘤は破裂のリスクが高くなるため、予防的に人工血管置換術等の手術を行います。
産婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8982 帝王切開術(選択帝王切開) 49 2.96 7.08 0.00 33.22
K877-2 腹腔鏡下腟式子宮全摘術 43 1.02 3.98 0.00 46.70
K8981 帝王切開術(緊急帝王切開) 41 3.02 7.05 2.44 32.17
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側)(腹腔鏡) 28 1.14 3.14 0.00 44.11
K867 子宮頸部(腟部)切除術 25 0.00 1.00 0.00 42.92
 当科は新川医療圏の基幹病院として、また、周産期母子医療センターとして地域産婦人科開業医との強い連携のもとに成り立っています。
 コロナ禍の中でも良性疾患(子宮筋腫)において、手術目的の紹介患者も増加しています。
 良性疾患は可能な限り内視鏡下手術の方針としており、腹腔鏡手術件数も増加しています。
 腹腔鏡手術は開腹手術と比較して、低侵襲手術であるため、早期退院が可能となり、在院日数の短縮化に寄与しています。また、NICUが充実したことにより、ハイリスク妊娠やハイリスク分娩も可能な限り受け入れており、転院率は減少しています。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)(その他のもの) 417 0.21 1.06 0.00 76.67
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含む) 24 2.13 1.96 0.00 70.46
K274 前房、虹彩内異物除去術
 白内障は加齢に伴い水晶体に濁りが出る病気です。水晶体再建術は濁った水晶体を取り除いて人工のレンズを入れる手術です。
 硝子体手術は黄斑前膜、黄斑円孔、糖尿病黄斑浮腫などによる視力低下を改善させる目的で手術します。
耳鼻咽喉科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 57 0.33 6.02 0.00 39.68
K309 鼓膜(排液、換気)チューブ挿入術 37 0.24 1.08 0.00 3.76
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術4型(汎副鼻腔手術) 20 0.25 4.40 0.00 56.15
K368 扁桃周囲膿瘍切開術
K4691 頸部郭清術(片)
 耳鼻いんこう科では、耳・鼻・のど・頸部(くび)・唾液腺(耳下腺や顎下腺)など眼の下から胸の上までの領域について、内科的加療(点滴など)から外科的治療(手術など)まで、様々な病態の方の診察と治療を行っています。
 手術については慢性扁桃炎に対する扁桃摘出術にくわえ、近年、急性扁桃炎がさらに進行した扁桃周囲膿瘍のうち重症で難治性の傾向のある症例について即時膿瘍扁桃摘出術を取り入れその有効性みとめています。また、主に0歳から2歳頃までの免疫機能が未熟なお子さんにおける急性中耳炎を反復する症例(反復性中耳炎)が多く来院され、難治性の反復性中耳炎のお子さんに対する鼓膜チューブ挿入術や、滲出性中耳炎の方々への手術が占める割合が高い傾向にありました。
 近年「ナビゲーションシステム」という鼻副鼻腔の術中の処置器具の位置を詳細に知ることができる機器が導入され、内視鏡下鼻副鼻腔炎の方々に対する手術的加療の向上につなげることができています。またのどや頸部リンパ節生検、甲状腺(こうじょうせん)、唾液腺、喉頭(こうとう)、下咽頭(かいんとう)に対する手術も行っています。
 全身状態の安定した症例については入院当日の手術を取り入れつつあります。
 手術対象症例が比較的若い患者さんであるのも当科の特徴の一つです。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K768 体外衝撃波腎・尿管結石破砕術 35 0.49 1.49 0.00 60.60
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術)(電解質溶液利用のもの) 27 1.33 6.07 0.00 72.11
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 16 0.88 6.94 0.00 70.06
K7811 経尿道的尿路結石除去術(レーザー) 12 3.17 5.92 0.00 65.25
K802 膀胱腫瘍摘出術
 泌尿器科の手術は体外衝撃波結石破砕術が多く、クリニカルパスを用い1泊2日の入院で行っています。入院当日に治療を行い、翌日に退院しています。膀胱腫瘍に対しては、内視鏡を用いた経尿道的手術を多く実施しています。また腫瘍や結石により尿管が閉塞し、水腎症をきたした場合、尿管にステントと呼ばれる2-3mm程度のシリコンのカテーテルを留置し、バイパスのように用いる処置を行っています。こちらの治療時間は約30分程度です。腎、尿管結石に対して、内視鏡で結石を見ながらレーザーを用いて砕石、除去する手術も行っています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一
異なる
180010 敗血症 同一 19 0.26
異なる
180035 その他の真菌感染症 同一
異なる
180040 手術・処置等の合併症 同一 22 0.30
異なる
 厚生労働省による令和元年度DPC対象病院全国平均は、上から順に、播種性血管内凝固症候群 0.15%、敗血症 0.47%、その他の真菌感染症 0.04%です。手術・処置等の合併症 0.56%となっています。当院は、播種性血管内凝固症候群、敗血症、その他の真菌感染症,手術・処置等の合併症のいずれも全国平均を下回っています。治療に関しては、学会のガイドライン等を参照して、適切な薬剤の使用を心がけています。
更新履歴
2021年9月24日
令和2年度病院指標を公開しました。