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脳ドックの紹介

当院の脳ドックの目的
  • 脳疾患の早期発見
  • 脳卒中の危険因子の発見
  • 脳の健康アドバイス
  • 脳血管性痴呆の予防
脳ドックの検査項目
  • 人間ドックのCコースとして行う
  • 大脳高次機能テスト
     1.記銘力テスト
      ・金子式かなひろいテスト
      ・数記銘(WAIS-Rより)
      ・ベントン視覚記銘検査
     2.長谷川式痴呆検査-R
  • 神経学的検査
  • MRI(T1強調・T2強調・プロトン密度画像)
  • MRA(頚部、頭蓋内)

脳ドックで何がわかるか?

 脳ドックの目的ですが、主目的はMRI・MRAによる未破裂脳動脈瘤の発見によるくも膜下出血の予防、無症候性脳梗塞の発見による脳卒中の予防と脳血管性痴呆の予防、無症候性脳腫瘍の早期発見・早期治療であります。これらの他、脳の萎縮や奇形・細動脈硬化の二次的所見(老化の程度)・記憶中枢である海馬の状態と現状の記銘力を評価し、生活上のアドバイスや再利用時の変化を分析いたします。

1.脳動脈瘤について

 脳動脈瘤というのは脳の血管分岐部などに生じる動脈のこぶです。動脈瘤自体は余程大きいものでない限り無症状です。しかし一旦破裂すると、くも膜下出血を起こすことで有名な病気です。くも膜下出血は今尚2/3近くの人が死亡ないしは社会生活不能となる恐ろしい病気です。しかも40-50歳代という働き盛りの方に多い病気です。
 未破裂脳動脈瘤の年間破裂率は1-2%とされており、生涯破裂率は50歳で10.3%、60歳で4.7%とされております。一方手術を行った場合の後遺症(麻痺、言語障害、嗅覚障害、視症状など)の発生率は0-13%とされており、手術死亡も0-4%という数字が報告されております。術者の技術・経験数によって合併症発生率にかなりの差があります。
 従って比較的少ない破裂率であるのに危険を冒して手術するのかどうかは、本人・家族が医師と十分に話し合った上で決定すべきであります。 また、手術以外にも、血管内手術による処置が開発されておりますので、担当医とよく相談してください。


MRAで脳動脈瘤が疑われると

 MRAで未破裂脳動脈瘤の存在が疑われますと、同意の得られた患者さんは手術ということになるのですが、その前に確認検査が必要になってきます。すなわちMRAでは脳動脈瘤があることはわかっても、その周辺の血管の状態が分かりませんと手術の際に危険ですので、確認検査としての脳血管撮影が行われることになります。通常、検査はあまり過剰に心配する必要はないのですが、動脈硬化の強い人では血管撮影により合併症を生ずることがあります。脳血管撮影の永続的合併症は、最近の論文では0.3%となっており、この程度の数字が最新の技術を駆使して得られる最低の値と考えられております。 当院では、二次検査にはリスクのより低いヘリカルCTスキャンを用いた3次元CT血管撮影を行い、脳動脈瘤が確認された時点で、手術に同意された利用者にだけ入院の上、脳血管撮影を行っております。
 なお、現在の診断技術における3-4ミリ程度の小さな脳動脈瘤の診断率(MRAに於ける)は60%前後で、見逃されることが時々あることが報告されております。5ミリ以上になると破裂の危険性が高くなります。新たに生ずる脳動脈瘤の早期発見のためには、ガン検診と同様定期検診が必要とされていますが、ガン検診と違い3年毎の受診で十分であろうとされております。
 現在基本的考え方としては、未破裂脳動脈瘤の手術対象年齢は69歳以下ですので、70歳以上の方が脳ドックを受けてもその恩恵にあずかることは稀です。但し、生理的年齢や社会的要因により手術適応年齢が高められることがあります。

2.無症候性脳梗塞について

 次に無症候性脳梗塞の発見による脳卒中の予防という脳ドックの2番目の目的についてお話しします。脳梗塞も一旦発症すると後遺症として、麻痺、言語障害、痴呆などが残ることがある恐ろしい病気です。そこで軽いうちにこれを発見し脳梗塞を予防しようというのが脳ドックの2番目の目的ですが、そもそも無症候性脳梗塞とはどういう概念のものであるかそこから話してゆきましょう。
 CT・MRIなどで偶然発見される無症候性脳梗塞(多くは穿通枝領域のラクネ)の頻度は、40歳以下では全くなく、40歳代で約 5%、50歳代で約9%、60歳代で約20%、70歳代で約29%と報告されております。従って60歳以上の方がCT/MRIを受ければ約4人に1人が「あなたは脳梗塞があります」と医師より告げられるわけです。そして再発予防のために高血圧など基礎疾患のある方では薬物療法がはじめられることが多いと思います。ラクネとは小さな脳梗塞と理解ください。
 文献的に7年間の追跡調査報告では、無症候性脳梗塞を認めた群からは6.8%と認めなかった群の0.86%に比して有意に高い脳卒中発症率が確認されております。脳梗塞再発予防の主軸となる抗血小板剤の内服により脳梗塞の再発危険度は20-50%減少するとされておりますが、穿通枝領域のラクネに関しては抗血小板剤は効果の得られないことが多いのです。このようなラクネに関しては抗血小板剤よりも高血圧管理の方が大切とされております(高血圧管理不十分であるのに抗血小板剤を内服すると、脳出血を誘発することがあります)。
 ラクネの予防が確立されれば脳血管性痴呆の予防につながり、脳ドックは爆発的人気を呼ぶことになると思われます。しかし現状ではラクネ予防は確立されておりませんので、脳梗塞予防という目的で脳ドックを受けるのであればあまり意義はなく、それよりも最初から一次予防としての高血圧治療をしっかりとやる方が大切です。

●不幸にして脳梗塞を発症した場合
●最新の治療法にt-PA静注療法が行われています。
●当院でも積極的に行っていますが、3時間以内に来院される方は少数派です。
●脳卒中の治療の鉄則は、発症したらすぐに脳卒中専門病院へ!

3.脳腫瘍について

 脳ドックの最後の目的であります無症候性脳腫瘍の早期発見・早期治療についてお話しいたします。脳腫瘍とりわけ良性腫瘍で手術困難な部位に発生したものは、早期発見・早期治療できれば、その分だけ治療成績は向上いたしますので脳ドックは有用ということになります。その代表例は聴神経腫瘍(耳の脳神経から発生)というような脳腫瘍でしょう。これは早期発見できればガンマーナイフやXナイフという特殊な放射線治療が応用でき、切らずに治すことが可能であります。また極めて稀ですが、脳ドックにより悪性脳腫瘍が発見されることがあります。悪性神経膠腫に代表される悪性脳腫瘍は早期発見されない限り予後は絶望的であり、このような特殊な例に於いては脳ドックは非常に有用であります。 なお、当院では、放射線治療装置リニアックが、さらに平成12年2月にXナイフが設置され、脳腫瘍治療の選択が増えました。


各種画像の比較例(左中大脳動脈にできた脳動脈瘤)

赤い矢印の先に脳動脈瘤があります。
MRA
MRA 脳ドックの標準検査に入っています。
 MRIによる脳血管写で、血流の信号から血管を描画したものです。
 血管の狭窄の検出精度が高い。3mm以内の動脈瘤の検出は難しい。
3D-CTA
3D-CTA 二次精査に使っています。
 造影剤静注後のCTのスライスを3次元処理をしたもので、動脈瘤の検出精度が高い。血管の狭窄検出には弱い。
脳血管撮影(DSA)
脳血管撮影(DSA) 入院して術前に行っています。  
 デジタル脳血管写で、CAGとは内頚動脈撮影のことです。血管の性状を示すにはこれに勝るものはありません。

アルツハイマー型痴呆の海馬の形態

 記憶の仕組みは複雑ですが、簡単に考えると大きなファイルの引出しのような ものと思ってください。年齢を重ね数多くの知識が蓄えられると、 だんだん引き出しがいっぱいになり奥のほうのものは引き出しにくくなります。 その状態がど忘れ(良性健忘)です。
 しかし決して記憶が失われたわけではなく、ある時ひょっと思い出したりします。しかし、アルツハイマー病で記憶を失ったならば、決して記憶は戻りません。これは、引出しのファイルが失われてしまったからです。
 昔カナダのペンフィールドという 脳外科医が、開頭手術中に脳の側頭葉の一部を電気刺激したところ (当時は局所麻酔でした)、患者自身が忘れていた遠い昔の記憶を思い出したのです。このことは、古い記憶は呼び出されなくても、ずっと側頭葉の内側の海馬と呼ばれる場所に蓄えられていることを物語っています。
 最近、記憶のいろいろなメカニズムがだんだん明らかになって、その時に発現する遺伝子までわかってきました。記憶障害に対する薬も出てきました。

 アルツハイマー型痴呆は、初老期(65歳未満)で発病する初老期アルツハイマー病と、それ以降発病のアルツハイマー型老年痴呆に分けられます。原因や病気の本態はまだ解明されていませんが、結果として脳内のアセチールコリンという化学物質が減っているといわれます。強い物忘れと同時に様々な精神症状を有し、特有の心理行動を呈します。現在の医学水準では、効果的治療法はありませんが、近い将来、ある程度の効果のある薬の開発は期待できます。

アルツハイマー型痴呆のMRI

 矢印が海馬です。神経細胞自体の死滅により萎縮しています。


アルツハイマー型痴呆のMRI 正常例 アルツハイマー型痴呆のMRI 中東度痴呆例 中東度痴呆例 重度痴呆例
正常例        中東度痴呆例       重度痴呆例


脳血管性痴呆は、脳の血管がつまったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血)の結果、脳が壊れ痴呆を生じたものです。小さな脳梗塞が多発するタイプが多く、多発梗塞性痴呆ともいいます。


  1. アルツハイマー型老年痴呆より若く発病する場合が多くみられます。
  2. 物忘れは部分的であったり、比較的軽度にとどまることもあります。(まだらボケ)
  3. 急に泣き出すなどの感情不安定(感情失禁)がよく見られます。
  4. 進行は停止したり悪化したり階段状に経過します。
  5. 軽い麻痺や言語障害、嚥下障害などの身体症状を伴いやすい。
  6. 早期ならば医療により改善や進行の予防が期待できます。
  7. 高血圧や糖尿病が発病や進行の危険因子になります。

脳血管性痴呆のMRI 

 矢印が虚血性変化です。神経細胞の死滅でなくて、神経繊維連絡路の遮断が主体です。


  脳血管性痴呆のMRI

黒部市民病院

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