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第3回 医療交流(2004年9月5日-2004年9月18日)

第3回米国指導医としてウィリアム・パトリック・ローシュ先生が来日。

臨床研修センターで早朝講義、臨床研修医や指導医と共に病棟回診及び症例検討を行われました。また、アルコール依存症をテーマとした全職員対象の院内講演、ご自身で活動されているボランティアクリニックについて看護部で講演されるなど、病院全体で交流を図られました。

ローシュ先生の黒部市民病院についての感想は清流に掲載されますので、ここでは看護部向けに講演されたボランティアクリニックについてご紹介します。

 

ボランティアクリニック設立の経緯

2001年秋、友人の一人で、産婦人科を引退した、ヘンリー先生が私に声をかけてきました。きっかけは、彼がサウスカロライナ州の行楽地、ヒルトン・ヘッド・アイランドにある無料の診療所についての記事をニューズウィークで読んだことからでした。ヒルトン・ヘッド・アイランドで働いている住民は、無保険で、リゾートアイランドに診療所がある個人開業医では経済的に診療を受けられない人が多く、その地元の住民には医療の提供が必要だということを、5年程前引退した小児科医が目の当たりにしました。

アメリカでは、無保険の貧しい人たちがいるという問題が目立って増加してきています。その人たちの、多くはフルタイムで働く労働者です。この人たちの主な受診の形態としては、頻繁に救急室で治療を受けるということです。というのも、彼らは金銭的に余裕がなく、慢性的な病気に対して、継続的に診療や治療を受けられないからです。アメリカの無保険者の数は、現在、4000万人と予想されています。調査では治療の遅れが、病院や医療施設にかかる費用を非常に増加させていることを表しています。

私たちの市、ジョージア州メーコン市は、人口12万5000人ですが、人口調査を行い、26%が無保険、つまり国民保険にも個人保険にも加入していない、ということが分かりました。この人たちは、時々、健康問題に関わる地域診療所を利用していますが、診療所が超満員で、予約が殆ど入れられない為、多くの人は致命的な病気になるまで、治療を受けません。

産婦人科を引退したヘンリー先生は地元が抱える問題について、何かしなければいけないと感じて、元同僚たちに声を掛け始めました。彼は、問題に関心のある住民と会合を開き、"無料診療所"の運営を手伝う意思のある人数を確認しました。二つの地域病院の内、一つが名乗りを上げ、以前に診療所として使用していた建物を、空いている時間だけ提供してくれました。引退した多くの医師、看護士に接触し、彼らの技術を少し提供してくれるようにお願いしました。ヘンリー先生と私は、職員会議中、病院の医師の前でプレゼンテーションを行いました。

初年度には、診療所を開いたら、手伝うといった医師や看護士が40人いました。栄養士、カウンセラー、レントゲン技師、以外にもボランティアとして支援してくれる方もいました。  私たちの地域では、価値があると考えられる企画には補助金を提供してくれる基金があります。私たちは、診療所を創設する際に、基金から巨額の補助金($200,000、約22,000,000円)を受け取りました。活動を始めて約1年後の2002年10月には、常勤役員として看護士を雇い、彼女に報告するような形式の非営利役員会を組織しました。そして、役員がボランティアを教育し、診療所の職員を決め、薬品と同じように、備品・消耗品を用意する計画を立てるようにしました。2003年2月に開院し、最初の診察を行いました。

私たちの診療所では、週3日、それぞれ半日ずつ開院して、ボランティアが診察をしています。監督及び医療の質の管理を行っているパートタイムの医師以外は、ボランティアで構成されています。私たちは医療を寄付し、私たちを支援している病理学者や放射線医を通して、低価格で検査とレントゲン検査を受けることができます。何らかの形で、約20人の医師が普段ボランティアとして参加しています。私たちが作成したビデオを見せたり、地元のテレビで放映されたことがあるので、現在では、多くの人が私たちの診療所について聞いたことがあるはずです。

診療所では500人の患者を診察し、殆ど無料で医療を提供しています。医療を受けられる条件は、働いていて、無保険、年収が個人の場合で$18,000(約1,980,000円)以下、家族単位では、扶養者の数によりますが、その年収を少し上回る程度であることです。国内で設立された無料診療所を手本として、医療を受けられる患者の条件を作ろうと試みました。  私たちの目標は、医療を必要とする人と医療を提供したいと思っている医師や看護士をつなぐことです。私たちは、医師や看護士が切望している環境を手本として、医療の環境を整えようとしています。私たちは学生を診療所に惹きつけることに成功しており、土曜午前、自分たちで"学生が運営する診療所"を開いています。そこでは、私とアン・ジョーブ学長がしばしば付き添っています。

 
医療局全体を対象としたレクチャー(左)、指導医の先生もカンファレンスに参加(右)

黒部市民病院

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