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本江 駿人医師

アメリカ体験記

 まず初めに辻先生、西村さんをはじめ、メーコン黒部医療交流にご尽力なされている先生方に、この場をお借りして深謝申し上げます。以下、体験記です。
 抱えきれない程の不安を募らせたまま、11月中旬の秋暮れる肌寒い日本を旅立ち、成田空港から長いフライトの後、ようやく僕はMaconに降り立ちました。目に映るメーコンは低い家々に高く青空が広がっており、そこらでは初対面の人達が楽し気に語らう陽気な街でした。関わる人々は皆揃って僕を歓迎して下さり、言葉の不完全さを温かい気遣いで補って頂きました。
 メーコンでの研修内容は週3回のクリニックの見学、2回のNavicent Healthの見学でした。クリニックでは代謝内分泌内科医のDr.Kohseの元でアメリカの日常診療を見学しました。 Dr.Kohseはカナダ出身の白人男性で、とても親日家でした。殊更日本の歴史に詳しく、元寇の話、関ヶ原の戦いの話、日本刀と西洋サーベルの違いの話、江戸の生活の話など、沢山の事を教えてくれました。たとえ日本語で聞いていても分からなかっただろう、と今振り返ります。クリニックでは当然の如く100㎏を超えた人々がやってきては、Dr.Kohseに怒られて帰っていきました。彼らも彼らなりに食生活に気を付けてはいるのでしょうが、インスリン分泌能の高さ故に、肥満とは切っても切れない関係の様でした。また、1型糖尿病の比率が多く、自己免疫疾患の合併を念頭に置いて診察する事も多いとの事でした。
 Thanks giving day(日本の勤労感謝の日に相当)にはDr.Kohseにホームパーティに誘って頂きました。木々に囲まれた素敵な家で、Dr.Kohseの奥様の美味しい食事をご馳走になりました。食後はDr.Kohseがおもむろに薪を取り出してきて、自宅のテラスでキャンプファイヤーをしました。また、翌日も自宅に誘って頂き、Dr.Kohseの大好きな七人の侍を一緒に観ました。
 Navicent Healthでは、Nurse Practitioner達の後ろに付いて、他科から入った新しいコンサルトに対応する日々でした。Nurse Practitioner達は非常に優秀で、ある程度の治療方針は自ら決定し、分からない事があればUp to Dateで調べて加療していました。ここでの医師の仕事はNurse Practitioner達が行き詰った時の相談役でした。外科や手技のある科では常勤医師が必要ですが、Navicent Health程の大きな規模の病院であっても手技の無い代謝内分泌内科の常勤医師は必要ないようで、毎週交代で違う医師がやってくる仕組みでした。勤務体制の違い、入退院の基準の違い、治療薬の違いなど様々な事を経験する事が出来ました。また、ナース達がナースステーションで普通にフライドチキンを食べていたり、クリスマスが近くなるとトナカイの格好で仕事をしていたり、日本では見る事の出来ない光景も沢山ありました。
 文化の違い、人種の違い、医療の違いは多少あれど、根源的な部分は同じで学ぶべき事も多く、大変貴重な経験をさせて頂きました。黒部市民病院で研修出来て良かったです。余談ですが、帰国の日が近くなると、日本の耳になる様で自然と英語が聞き取りにくくなりました。無事帰って来れて安心しました。

黒部市民病院

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