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菱川 裕一朗医師

僕とアメリカ

 2016年10月22日、僕は成田空港にいた。泊まるホテルも分からず、チェックインすらできなかった。何かあったらLINE電話してね!優しいマハー先生は旅立ちの前日に不安でいっぱいの僕へ励ましのメッセージをくれた。しかし終わらない呼び出し音。困った僕は勇気を振り絞り係員に聞いた。僕...アメリカに行けますか? ...大丈夫ですよ。あそこまで素晴らしい苦笑いを僕は忘れることはないだろう。
 なんとか僕は飛行機に乗れた。搭乗時間ぎりぎりだ。飛行機に乗るやいなや、夢の国へと就寝したが、気圧の変化に耳が耐えられず、すぐに起きた。食事をとり、一人妄想にふける。ああ、もう僕は研修医になったんだ。誰か倒れたら駆けつけなきゃダメなんだ。大丈夫かな。その時僕はまだ知らなかった。...まさか自分がめまい、吐き気に襲われるとは。倒れてなるものか、この中にお医者さんはいませんかって、俺やないかい。と気合で乗り切った。その後、無事アメリカの空港へ到着した。なんでアメリカ来たん?などいろいろ聞かれたが、予習通りの受け答えで難なく通過。安堵したのもつかの間。空港から出ようとした瞬間、最後の門番のような人に、君はあっち、とファイルを渡されながら言われ、そかメーコン行きはあっちか、Thank you.と思った。向かった先には警察っぽい人がいっぱいいた。荷物をそこに置き、何も持たずにここに来なさいといわれたのだと思う。そう、日本を知ってもらおうと持って行った生ラーメン(富山ブラック)が薬と間違われたのだ。日本のラーメンは確かに依存性はあるが、薬じゃないぞ、そう言いたかったが英語が分からないため、ジャパニーズ ヌードル グッドとでも言っておいた。
 本当に長かった。ようやくアメリカについたのだ。困ったら、メーコンに行きたい、メーコンに行きたいと言えば何とかなると聞いたため、声をかけまくった。このバスに乗りな。ふう、やっとメーコンに着く。僕は安堵した。マハー先生よりラインが届く。乗り換え必要かもしれん、実は私よく知らないんだ、すまぬ。ここに味方はおらぬのか。しかしアメリカの人は丁寧だ。こんな僕でも無事にメーコンに届けてくれた。どっと疲れが出た。次の日起きたら17時だった。
 月曜日、初めて実習が始まる。アメリカでは初対面では握手が普通らしい。辻先生に初日に書類渡してねと口酸っぱく言われていたため、僕の頭は書類でいっぱいだった、手を差し伸べられもちろん書類を渡した。どや顔で。今でも後悔はしていない。2週間くらい後に、知っている先生を見かけ握手を求められたシチュエーションがあったが、僕が大便をした直後で手を洗っていなく、もじもじしてたら握手され、僕の手の角度がとんでもないことになった、というのはまた別の話。
 アメリカで見るものは、すべて新鮮であった。黒部市民病院では中々経験することのできない感染症もたくさん見ることが出来た。また先生も優しく、僕のたどたどしい英語の質問に対して色々教えてくれた。せめて内容を理解したかった。困った顔をしていると、先生がそっと携帯電話の画面を見せてくれた。なんとGoogle翻訳。伝えたい気持ちが大変嬉しく、勉強にもなり、アメリカに対する恐怖心も徐々に薄れていった。いつしか愛想笑いが笑顔へと変わった。
 アメリカは、何をとっても、どこを見ても大きかった。病院では常に迷子になっていた。またお邪魔させていただいた家のほとんどがペットを飼っていた。馬を飼っている方もおられた。僕は馬が大好きで、2度もお邪魔させていただいた。忘れられない思い出だ。アメリカでどこが一番楽しかったか聞かれた。Your house!と答えた。隣でマハーが、いい答えだ。と、うんうんしていた。
 正直最初はアメリカに行く事が嫌だった。恐怖心しかなかった。どうせ引きこもって、youtube生活なのだろうと思っていた。...僕が間違っていた。数々の感動、感謝、ジェスチャーの偉大さ、文化の違い、万国共通の笑い。この一か月間は僕の人生の先入観を変えてくれたと思う。本当に楽しかった。医学的にも成長できたが、人間として一皮剥けることができた。帰国後、英語で救急対応出来た事を褒めてください。
 Maconでの思い出が昨日のことのように感じられます。ああ行ってよかったなぁと、心から思いました。この1か月間、僕に関わってくださったすべての方々。本当にありがとうございました。

Dr. dela Cruz宅にてボートに  乗せていただきました
Dr. カートナーと

Dr. dela Cruz宅にてボートに  乗せていただきました
マミーと


Dr. dela Cruz宅にてボートに  乗せていただきました
レジデントと


Dr. dela Cruz宅にてボートに  乗せていただきました
飲み仲間と


黒部市民病院

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