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マハー祐実医師

アメリカ研修を終えて

 10/15~11/11までの4週間、米国ジョージア州メーコン市のNavicent Healthにて研修させていただきました。私は辻先生、田中看護部長さん、西村さんをはじめ総勢7名の先発隊の一人として参加させていただきました。そのため最初の週は毎日のように歓迎会があり、温かいおもてなしにただただ感謝、恐縮するばかりでした。メーコン市は緯度としては日本の鹿児島県と同じくらいのところにあり、滞在中の天気はほぼ毎日快晴。雨は一日も降りませんでした。朝晩はかなり冷え込みましたが日中は半そででも過ごせるほど暑く、気温差が大きかったです。
 Navicent Health は病床数で言うと約600床ほどで、ジョージア州で2番目に大きな病院です。病床数だけみると黒部市民病院の400床と比べて大差なさそうなのですが、総職員数は約5000人、医師数もレジデントを含めて約400人、建物も広大で4週間いても迷い続けられるほど、予想をはるかに上回る巨大な病院でした。保険制度・高額な医療費の関係上、アメリカでは基本的に本当に必要な人しか入院しておらず、黒部市民病院の平均入院日数が約14日であるのに対し、Navicent Healthでは約4日と、とにかく毎日入退院が目まぐるしく展開されていました。
 そんな病院での4週間の研修先として私はPalliative Care緩和ケアを選択させていただきました。将来緩和ケアに携わりたいと思っており、また日本ではなかなか見られないホスピスを見学したいと思ったのがその理由です。Navicent Healthの緩和ケアチームは緩和ケア専門医が2人、インターン2人、ナースプラクティショナー(医師と看護師の中間職)3人、カウンセラー10人で構成されており院内で幅広く活動されていました。主に指導してくださったDr.Ellis は40代の女性の医師で、スタッフや患者さん家族からの信頼も厚く、凛とした美しく優しい先生でした。緩和ケアというと日本では癌の患者さん対象のイメージですが、アメリカでは癌に限らずむしろ心不全、呼吸不全、腎不全末期の方を中心に診ていました。
 緩和ケアチームは主に病棟の看護師あるいは医師からコンサルトを受けて対応していました。毎朝15例前後の症例(前日からの持ち越しもある)が朝のカンファレンスで取り上げられ、現在の症状、治療内容、必要なサポート状況、主治医(他科)からどのような治療がされているか確認します。カウンセラーが積極的に患者・家族と関わっており、どんな不安があるか、問題となっている家族背景や主治医との関係はないか、何か助けになれることがないかなど抽出し、後に情報共有により誤解を解いたり、スタッフ間の調整を行うなど重要な役割を担っていました。医師は必要な指示の追加や変更、場合によっては緩和ケア病棟(PCU)への転棟やホスピスへの移行の判断を行っていました。PCUでは他科の主治医も継続して診察は行いますが、疼痛コントロールや呼吸症状のコントロールは緩和ケアチームに任せられていました。患者さん家族からは「精神的にとても助けられた。素晴らしいチームだ」と感謝される場面に何度も遭遇しました。緩和ケアチームは患者さん・家族の死に対する理解を深め、受け入れる準備をする上で非常に大きな助けとなっていると感じました。患者さん向けの資料も多く用意されておりとても有用だと思いました。
 またPine Pointe Hospiceにも週に1-2日程行かせていただきました。Pine Pointe Hospiceは1982設立、メーコン唯一の非営利ホスピスで、部屋は15床、すべて個室。部屋は広く明るく、庭があり家族がくつろげる共同の広い部屋が2つあり、時折ピアノ演奏が聞こえてくる、そんなとても穏やかな場所でした。また在宅ホスピスの役割も担っており、看護ステーションが併設されていました。最初はホスピスに抵抗があった患者家族も、そこに来ると「もっと早くここに来たかった!」と言われる人がほとんどだとドクターから伺いました。
 文化の違い、医療体制の違いもあり、今回学んだこと全てが日本でも実現可能かと考えると難しい部分もたくさんあると思いますし、アメリカでの医療が全て理想とも思いません。しかしながら見習いたい部分もたくさんあり今後還元できたら、と思いました。そしてなにより今回の経験を通して将来の働き方をより具体的に考えることができ、とても大きな収穫となりました。
 その他にもER、心臓バイパス手術の見学もさせていただきました。また週末には多くの先生や看護師さんに観光に連れて行っていただいたりご自宅にご招待いただいたりと、とても楽しく充実した時間を過ごすことができました。とにかく皆さんによくしていただき感謝に堪えません。
 研修医時代にこのような素晴らしい研修の機会を与えていただき、貴重な経験ができたことを、黒部市民病院、Navicent Healthならびに関わってくださったすべての皆さんに心より感謝いたします。今回の経験を通して得たものを、今後の医者人生の中で活かしていきたいと思います。本当にありがとうございました。

 

Dr. dela Cruz宅にてボートに  乗せていただきました
Dr. dela Cruz宅にてボートに
乗せていただきました

Dr.Chanの宅にて夕食会
Dr.Chanの宅にて夕食会


ERの先生と学生さん
ERの先生と学生さん


ホスピスにて
ホスピスにて


看護師さん宅にて乗馬体験
看護師さん宅にて乗馬体験


緩和ケアチームのみなさま
緩和ケアチームのみなさま


黒部市民病院

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