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天満雄一医師

平成26年11月30日-平成27年1月4日  

○アメリカ研修報告                       

2014年11月30日より1月4日まで5週間アメリカに滞在し、Medical Center of Central Georgia(以下MCCG)で研修を行ってきましたのでこの場を借りてご報告させて頂きます。
 MCCGでは主にfamily medicine、ERを中心に研修を行ったほか、空いた時間を利用し総合内科、代謝・内分泌内科、手術室での研修も行わせて頂きました。
アメリカでは一般的なシステムかと思いますが、MCCGでは各科の外来はそれぞれ病院外の別の場所にある診療所で診療業務を行っております。始めの1週間はfamily medicineの診療所で私と同じ立場であるMCCGの研修医や指導医とともに、診察、ディスカッション、プレゼンテーションなどを行わせていただきました。情報がグローバルに共有されている時代であり、基本的な診療や治療方針に関しては大きな違いはないと思いました。しかし、人種も生活も医療制度も日本とは異なるアメリカ。もちろんのこと大きな違いもありました。 
まず感じた大きな違いは肥満患者が多いということです。特に研修を行ったMCCGがあるジョージア州は肥満人口の高いアメリカ南東部に位置しており、州全体の肥満人口は30%程度ですが、患者に限って言えば半数以上がBMI25以上だったように思います。BMIが30、40というような極度の肥満患者も珍しくありませんでした。肥満患者の場合、ほとんどは年齢に関わらず高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣関連疾患を持っており、その状態もあまり適切には管理されていないということが多かったです。アメリカは平均寿命が78歳と先進国の中では短いですが、この肥満がその数字に大きく関わっているのだと思いました。また肥満患者に対しては、薬の容量を通常より多く処方していたり、向こうの医師が「肥満患者の身体所見はとりづらいから重視していない」。と言っていたことが印象深かったです。
他に日本の診療と大きな違いだと感じたことは人種を考慮することです。例えばアジア系には骨粗鬆症が多かったり、アフリカ系であればWBCが元々低めの傾向であったり、白人であれば降圧薬として利尿剤の効果が高かったりといったように、それぞれの人種による違いを把握し、検査や薬剤を考慮していたことは大変興味深く、日本でもアジア系以外の患者を診療する際はこのようなことに配慮する必要があると思いました。
 また、日本とアメリカの医療制度の違いも大変興味深かったです。アメリカでは日本では当たり前となっている皆保険制度が定着していません。それ故に、患者の保険によってカバーできる範囲が違い、それぞれに合わせて処方薬を考慮していました。また経済格差が大きいアメリカでは貧困人口の割合が高く、経済的な配慮もしながら治療薬の選択をしており、必ずしも医療的にベストな処方をできない状況を見て、医療制度が充実していることの重要性を感じました。
 外来での研修を終えた次の週からは病棟での研修を行いました。病棟でも日本と大きな違いをいくつか感じました。まず1つは入院期間が短いということです。MCCGでは入院平均期間が日本の半分以下の1週間程度という話を聞きましたが、実際患者のほとんどが1週間以内に退院していました。日本の医療に慣れている身にとっては、もう少し入院して様子を見た方がいいのではと思うような患者もどんどん退院していましたが、これは早く退院させた方が、病院の収入的に得をするというような経営的なメリットもあるようで、日本の世界的にみて長い入院期間にはもちろん問題はありますが、患者の立場からは日本での入院の方が安心なのではと思いました。また、病棟では毎日何件ものコードブルーがあるのですが、このことからもやはり日本の方が入院における管理は徹底されていると感じました。
また他に違いを感じた点としては基本的に全員個室管理であったり、回診の際に必ず扉を閉めて行うなど、プライバシーや過ごしやすさの配慮という点では日本に比べて非常に進んでいると思いました。
 Family medicineでの研修を終えた後はERでの研修を行いました。MCCGのERでは常時医師が2-3人勤務していますが、それに対し患者は毎日200名程度ということでした。医師の数からすると、この数をすべて診ることは不可能なように思えますが、アメリカでは基本的な診療や簡単な処方をできるナースプラクティショナ―(以下NP)という職種があり、そのNPがいるためにそれだけの数の患者を受け入れることが可能だということでした。また、救急車搬送に関しては州や場所によって制度が違いますが、MCCGに関して言えば搬送に100ドル-200ドル程度の料金がかかるということでした。場所によっては料金を払えない患者に関しては状態にかかわらず搬送を断るような場所もあるそうですが、MCCGへの搬送に関しては金銭的状況に関わらず、搬送要請に応じてどのような患者も搬送するということでした。しかしそれ故に、救える命がある一方で、搬送料金が後で払われなかったり、救急搬送の閾値が低くなっていたりといろいろと問題も多いようでした。また極度の肥満患者が歩けないために救急搬送要請をすることがまれではないといったことも日本ではまず聞くことがなく、アメリカらしいエピソードだと思いました。
 その他空いている時間を利用して研修を行った総合内科や代謝・内分泌内科、手術室でも様々な違いを感じ、良い経験をさせていただきました。
総合内科では主に施設の見学を行わせて頂きました。絵を飾るなどインテリアに配慮していたり、医療器具を直接目に見えない場所に配置してある病院の作りは視覚的に落ち着きを与え、医療者、患者ともに滞在しやすい環境なのではないかと思いました。
代謝・内分泌では外来と病棟管理を見させていただきました。どちらも患者に関しては糖尿病が主でした。アメリカでは基本的に糖尿病の教育入院は行っておらず、病棟では合併症があったり、手術前の患者の血糖管理を行っていました。外来ではfamily medicine同様状態の悪い患者も多かったですが、先に述べたように教育入院はなく、外来の診療所で週1回のレクチャーを行っているということでした。
手術室では様々な種類の手術を見せて頂きましたが、手術ロボットを用いての手術を見たことは初めてで非常に興味深かったです。また手術全体的に言えることとして、普段日本で行われている手術と比較して手技は多少荒いように感じましたが、時間が非常に速かったことは印象的でした。
 今回の研修では非常に多くのことを感じ、学ぶことができました。またクリスマスの時期ということで、パーティーに招待して頂いたり、街のイルミネーションを満喫したりと、違う文化の中で非常に楽しい経験もさせていただきました。病院の中にも至る所にツリーが置いてあったり、病院の職員や看護師がサンタ帽を被って仕事をしていたことも非常に印象的でした。黒場市民病院の方々、MCCGの方々、YKKの方々、このような素晴らしい研修の機会を提供してくださったすべての人に感謝致します。ありがとうございました。


 
Dr.Turkのご自宅にて(左)、Dr.Blackwoodと(右)

 
Dr.Boltja Familyと (左)、Dr.Upshawと(右)

 
Family Health Centerの診察室 (左)、観光で行ったシカゴの夜景(右)





黒部市民病院

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