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中川朋美医師

平成25年11月9日-平成25年12月7日  

 私は11月9日~12月7日まで約1か月のアメリカ研修に行かせていただきました。まず初めにこのような貴重な機会を与えてくださった、黒部市民病院の臨床研修に携わるすべての皆様に感謝いたします。
 最初の1週間は、ERで、いわゆる私たち初期研修医が常日頃多くのことを学べる場のひとつである当院救急の規模を大きくしたようなところです。と一言で言っても、その規模の大きさは想像以上であり、ベッド数はもちろんスタッフの数も当院の一つの病棟以上であったり、電光掲示板で患者さんごとにオーダなど進行状況が確認できるようになっていたりと、初日早々「アメリカサイズ」を肌で感じました。私が研修でまわっている間は、先輩方から聞いていた銃弾を撃ち込まれた外傷のような重症患者さんには幸い出会いませんでしたが、黄疸が増悪して体が真黄色の患者さんやアルコール中毒によって全裸で監禁部屋のようなところで観察となっていた患者さんなど、衝撃的な症例はいくつかありました。一番印象に残っているのは、ドクターと患者さんの家族が揉めてしまった場面です。これは自分が働いていてもしばしば遭遇する状況であり、患者さんの思いを理解した上で、時と場合によってはその思いに十分に応えられない医療者側の考えや方針もわかっていただくことが、非常に難しいのは、どこの国でも同じなんだなと思いました。また規模さえ違いましたが、診療内容や検査の進め方ではそこまで大きな違いはないように感じ、逆に、自分たちの普段やっていることに自信を持っていいんだと再認識することができました。
 残りの3週間は、産婦人科での研修をさせていただきました。まずは妊婦のプロフィールの違いに愕然としました。日本では考えられないと思われる肥満の妊婦があまりにも多すぎるという事実、そして日本では少子化が叫ばれる中、経産婦の出産回数の多さに驚きました。中には私と同い年ですでに6回経産の妊婦もおり、衝撃でした。やはりメーコンという南の地方では黒人が多いのですが(差別用語ではなく事実として)、教養の低さがこのような経妊回数につながる原因のひとつであると感じましたし、実際にそうであるとドクターやレジデントが話してくれました。BMIが40以上の妊婦も少なくなく、あまりにもリスクの高い出産や帝王切開を切り抜けていく産婦人科ドクターやレジデント達に頭が下がる思いでした。経腟分娩や帝王切開での方法は特に自分が日本でみたものと大きな違いがあるようには思いませんでした。産婦人科の研修でその診療内容ももちろん興味深かったのですが、最も印象深かったのはレジデントたち(日本での後期研修医にあたります)の働きぶりです。彼らは毎朝6時ごろには病棟に来て回診をし、妊婦さんたちの状況把握をしていました。その後7時からレジデント達だけのミーティングがあり当直帯との申し送りをします。8時からのドクターとのミーティングに備えているのです。また、ミーティングでは積極的に意見を交わし、その中でも常に楽しそうにリラックスしながら、かつ一生懸命仕事をしている姿は、自分の今後の理想像でもあり、とても刺激を受けました。朝早くから夜遅くまで常に動いて忙しいはずなのに、仕事の合間のレジデント同士の笑いは絶えず、本当に楽しそうに仕事をしていました。私はほぼ毎日レジデントについて診療や手術に参加していましたが、彼らはいつも親切で、わからないことがあって質問をすると丁寧に教えてくれました。レジデント達と仲良くなって、日本とアメリカの診療内容の違いなど真面目な話をしたり、診療の合間に冗談を言い合ったり、雑談をして過ごした時間は私にとってかけがえのないものです。
 また昨年当院に来てくださった産婦人科のDr.Makiiのオフィスクリニックの見学もさせていただきました。そこは閉経後の女性が多く受診しており、子宮脱のメッシュ手術後のフォローや相談が多く、産婦人科のドクターの中ではその領域の手術をできるドクターは少なくDr.Makiiはそのメッシュ手術のスペシャリストでありました。そこで骨盤底の解剖から診断の仕方、手術の実際について教えていただき、非常に勉強になりました。 また同様に昨年当院に来てくださったドクターの一人であり、そこで感染症の講義をしてくださったDr.Kartnerのクリニックにも、感染症は回っていなかったのですが、個人的にお願いをして研修させていただきました。そこはAIDS患者さんのためのクリニックだったのですが、看板も案内もない一見クリニックとはわからない建物であることは衝撃的でした。Dr.KartnerがAIDSへの偏見があることを考慮したそうです。しかしそこには薬によって何の症状もなく何十年と定期的に通院しているという患者さんや、薬の副作用症状を克服した患者さんを診察させていただく機会がありました。そこには医師と患者の信頼関係を垣間見ることができました。
 私の行った時期はちょうど11月の第4週の木曜日Thanksgiving dayの日があり、Family medicineのDr.Bartnerの家に招待していただきました。そこでは初めての七面鳥や多くの手料理を振舞っていただき、家族の一員のように食卓を囲ませていただき、思い出に残る1日となりました。また日本文化、アメリカ文化の話など興味深い話がたくさんでき有意義な時間でもありました。
 週末はそれぞれニューヨークとラスベガスへ弾丸旅行に行きました。どちらの街でもたくさん歩いて街の空気を丸ごと感じることができました。中でも印象的だったのは、芸術・エンターテイメントです。ニューヨーク近代美術館(通称MoMA)では、普段触れることのできない絵画がたくさんあり、解説などを聞きながらゆっくり回っていたら4時間ほど時間が経っていました。また、ブルーマンショーは言葉の壁を越えたアメリカのお笑いを肌で体感し、笑いっぱなしであっというまに時間が過ぎていきましたし、ラスベガスでみたシルクドソレイユのショーは感動の嵐でしばらく言葉が出なかったほどで、このように多くの素晴らしい芸術に触れることができ、非常に刺激的でいい時間を過ごすことができました。
 最後にこのような貴重な素晴らしい機会を与えてくださった黒部市民病院と、温かく迎えてお世話してくださったMCCGのDr.Harrington、Dr.Makii、Dr.Batler、Dr.Hendry、Dr.Blackwood、Dr.Ponce、その他お世話になったスタッフの皆様に重ね重ね心から御礼申し上げます。これからも黒部市民病院とMCCGの交流が双方にとって有意義なものになりますよう願っています。


 
Dr.Blackwood&Dr.Makki(左)、ER正面にて(右)

 
Dr.Makki's office(左)、with OBGYN residents(右)

 
Top of the Rockから見るエンパイアステートビル(左)、コカコーラ博物館で癒しのひととき(右)

 
BROADWAY(左)、Las Vegas(右)

 
仲良くなったstudents


黒部市民病院

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