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矢田匡城医師

平成21年10月24日-平成21年11月22日

2009年10月24日から11月22日までアメリカ合衆国ジョージア州メイコン市の中央ジョージア医療センター(MCCG=Medical Center of Central Georgia)で、1ヶ月間研修をさせていただきました。

初めの1週目は救命救急科で、2~4週目は主に感染症科で研修をさせていただきました。

救命救急に関してはスタッフが充実していました。検査・治療方法等の医療行為の本質的な部分は日本とはほとんど変わらないと思いましたが、医療システムが日本と違っている点が多々ありました。1日9人の救急医が3交代制で回していて、3人の当番のドクターに加えて、ナース、技師、さらにはフィジカルアシス タントという問診身体診察する職業の人がいて、コメディカルが充実していました。可能ならばフィジカルアシスタントの診察だけで患者さんを帰宅させること ができるシステムでした。また、医学生が縫合をしているところにも驚きました。日本の医学生ならば基本的に見学がメインとなっていますが、アメリカの医学 生は自ら処置などの医療行為ができる点も日本とは違っており、大変興味深かったです。そして医学生やレジデントに対する指導医のバックアップも充実してい ました。指導医は医学生やレジデントが診察した患者さんを必ず後から診察をし、一緒にその患者に対する鑑別診断を立て、医療行為を考えるという指導体制で した。このような医療システムや医療スタッフが充実している点が十分な指導につながり、良い医師を育成できる体制が優れていると思いました。

診療記録に関しては医師がマイクに向かって診療事項を話し、それを別の場所でタイピストが聞いてレポートを作り上げていました。日本ではこのようなシステムはみたことがなく、非常に興味深いものでした。このように研修生活1週目は特に医療体制の差に驚く毎日でした。

2週目からは感染症科のカートナー先生のもとで学びました。
エイズ患者は日本でも増加していると言われていますが、まだ診療したことがなかったため、特にエイズ患者を中心に学ばせていただきまし た。エイズ専門の診療所では患者が非常に多く、問診や診察までさせていただきました。初めは戸惑うところもありましたが、患者さんは皆快く診察させて下さ りました。そして後からカートナー先生と一緒にどのような病態かassessmentを立てて処方や採血等の 検査をしました。薬剤耐性患者で、治療効果が十分ではない患者さんに対しては適宜別のエイズセンターにコンサルテーションをして治療方法を考えていまし た。診療所に関しては収入が十分でないために医療保険に入るのが難しい方が通う所で、政府からの援助で開いている診療所でした。日本とは違って米国では医 療保険に入れないと十分な医療行為を受けることができず、先生もそのことに関しては非常に問題であり、解決されなければならない問題だとおっしゃっていた のが印象的でした。2009年12月現在、アメリカ政府内でも国民皆保険を掲げて医療保険制度の改革案が審議されておりますが、その点では日本は恵まれているのかもしれません。

カートナー先生はエイズ患者を始め、非常に多くの感染症患者さんを抱えており、他にも他科からのコンサルテーションも多く、数分ごとに 絶えずドクターコールがかかっていました。特にエイズ診療にかけてはメイコン市周辺の地域を一手に担っているため、症例も豊富でした。さらに先生はどんな に忙しくても濃厚な指導をしてくださり、毎日が非常に充実して過ごすことができました。病棟回診では軽症な患者さんからエイズ患者のニューモシスチス肺炎 やクリプトコッカスの髄膜炎、敗血症性ショックなど重症な方まで、様々な患者さんの回診をすることができました。中でもニューモシスチス肺炎で気管挿管さ れ、意識不明の患者さんが衝撃的でした。これまで僕が診察してきたエイズ患者さんは無症状で、一見健康にみえる方ばかりでした。しかし、そこには日和見感 染によって悲惨な状態の患者さんがいたわけで、「エイズ」という感染症の本当の恐ろしさを目の当たりにしたのです。このような体験は2度とできないと思います。そのような意味でもこの3週間は非常に重要な期間だったと思います。

感染症科を実習している医学生と接する機会もありました。病棟実習の本質的な部分も日本の実習とほとんど変わらない様子で、医学生の講 義内容に関しても日本の医学教育とほとんど変わらない内容でしたが、一人ひとりに考えさせて積極的に意見を発表させる参加型教育システムがすばらしいと思 いました。一人ひとりの生徒が積極的に授業に参加し、積極的に勉強をし、モチベーションが高く、見習うべき点だと思いました。

その他、ドクターは皆優しく接してくださりました。仕事中は丁寧に指導するのみならず、食事にも誘って下さり、日米間の医療の違いや食 文化の違いも知ることができました。食事面に関しては、アメリカ料理はもとより、和食レストランでさえも食事量が多く、食べ切れなかったことも多かったで す。料理店内の雰囲気も日本の和食レストランとも少し違う雰囲気で、日本料理をアメリカ人の視点からみることもできました。

中央ジョージア医療センターで医学を学べたことは、研修生活のみならず、人生においても非常に大きな糧になりました。勉強のみならず、会話・食事・文化・交通手段など日常生活に関しても1分1秒常に学ぶことが多く、考える面も多かったです。

最後にこの機会を作ってくださった病院の先生方、医療スタッフ、医学生の方々に深く感謝を申し上げます。この経験を生かし、日々切磋琢磨していきたいと思います。

 
Atlantaの夜景(左)、Dr.Katnerと(右)
 
ボストン美術館にて(左)、MCCG(右)

黒部市民病院

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