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片岡久嗣医師

平成20年11月29日-平成20年12月28日

この度、黒部市民病院研修の一環としてアメリカジョージア州メーコンにある中央ジョージア医療センターで4週間、研修させて頂きました。研修前にアメリカの不況の影響か研修のコーディネーターであるERのDr.Griffinがいなくなり、研修予定がなかなか決まらず出発前から不安はありましたが、無事に希望の研修を予定させていただきました。

初めて訪れるアメリカということもあり、今まで研修を行った人の話を聞いてもどのような病院なのか想像できない中で病院を訪れ、ERでの研修が始まりました。専用のカードキーでERのドアを開けるとドラマのERとは程遠いゆったりとした雰囲気がありました。30床ほどの完全個室のベッドで患者は診察を待つ間、スタッフはジュースが入った大きなボトルを抱えて談笑している状態。患者の多くは日本と同様に軽症で、入院が必要だとしても一刻を争うような病状の人は少なかったことも関係しているように感じました。また、アメリカと日本の国民性の違いなのでしょうか検査が行われるまで数時間、処方が出るまで1時間、入院が決まり病棟に行くまで10時間以上ERで待たされてもそれが当たり前で不満を言わない事も関係するのであろうと思いました。ERでの研修1週間はほぼこのような状態で、緊迫した事態を目の当たりにする機会は1,2度あったぐらいでした。

ERで働くスタッフは多く、採血など検査を行う人、レントゲン技師、心電図だけを検査する人、病歴を聴取する人など日本では考えられない程、仕事が細分化されていました。多くのスタッフがいるおかげで、急性心筋梗塞の患者が運ばれたときや、ER内で心肺停止状態になったときはスタッフ10人ほどがすぐに集まり、医師の指示のもとに処置にあたり、搬送されてから10分ほどで心カテ室に運ばれていく手際の良さを見た時は十分に訓練を受けていると感じると同時にうらやましく感じたりしました。

今回の研修のメインは麻酔科でしたが、麻酔科でも大きく日本と異なりました。手術の時の麻酔をかけているのは麻酔師(Anesthetist)という手術麻酔を専門にしている資格者なのです。心臓のバイパス手術では多くの薬剤を持続ポンプで投与し、人工心肺、経食道エコーなど大掛かりな準備が必要ですが、アメリカに行くまでAnesthetistとAnestheologist(麻酔科ドクター)の2つがあることを知らなかったので滞りなく手術が進んでいく様を見てこの人は麻酔科のドクターなのだと思っていました。後から麻酔を担当しているのは麻酔師だと聞いて大変驚きました。

では麻酔科ドクターがどのような仕事をしているのかといえば、1人当たり3ないし4つの手術室の管理を任され、導入、抜管と言われる麻酔開始の時、麻酔から覚ます時、手術の最中に時々様子を見に行き何か問題が起きていないか確認すること、術前、術後の患者の診察を行うことでした。麻酔科ドクターについて見学させてもらう機会がありましたが、落ち着く暇もなく、病棟、手術室を往復する繰り返しで非常に忙しそうでした。日本では朝の手術の前に患者の様子を見て、翌日の患者を診察、麻酔の説明を行い、その後手術室で担当の麻酔を行うという内容で、手術の麻酔がメインであるのと対照的でした。

また次の日にはペインクリニックを見学させていただきました。朝7時から診察が始まり、診療も並行して行います。行っていた治療は主に硬膜外ブロックでしたが、ここでもスタッフが多く、ドクターが治療する部屋に来た時にはすでに患者は鎮痛剤を投与され、ベッドの上で眠って治療を待っている状態でした。部屋にはレントゲン技師、看護師2名がおり、ドクターは患部を消毒し、レントゲンを見ながら穿刺位置を決め、薬剤を注射します。診察と注射合わせて10分ぐらいで終了し、朝から夕方まで30人近くの患者を治療していました。スタッフが沢山いて、皆それぞれ仕事が与えられ、流れ作業のように診察していく様は圧巻である一方、患者とは数分しか顔を合わすことがなく、患者が不安に感じたりしないのかとも感じました。

帰国2日前にクリスマスがあり、アメリカでクリスマスを過ごすという貴重な体験も経験できました。12月はクリスマス前で一番華やかな月です。町中にイルミネーションが飾られ、お店にはクリスマスの飾り、プレゼント、また本物のクリスマスツリーなどが売られていました。アメリカのクリスマスは家に家族が集まりパーティーをするため、12月25日はほとんどのお店が閉まり、マクドナルドなどファーストフードの店も閉まり、ホテルの部屋の清掃係もお休みという状態でした。研修で来た者にとっては食事をとる場所がないなど困った事態になるのですが、黒部に来たことのある家庭医学のDr.Burtnerがホームパーティーに誘っていただき、突然お邪魔したのもかかわらず、温かく迎えて頂き、その上にクリスマスプレゼントまでもらい、楽しいひと時を過ごすことができました。

このように誰に対してもフレンドリーに接し、病院で人に会えば必ず"Hi! How are you?"と聞かれ、笑顔で仕事をしている印象が研修で一番心に残りました。システムとしては大きく違いがあり、驚きの連続でしたが、様々な医療があることを知ることができたことはこれからの医師としての人生に大きく関係することになるでしょう。1ヶ月間のアメリカ研修を実現させていただいた黒部市民病院の関係各位の方々、大変感謝しています。ありがとうございました。

 
麻酔科医Dr.Huaと(左)、ERのDr.Gardinerと(右)

クリスマスイブの日に付けていたバッジ

黒部市民病院

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